トキドキ☆ブログ

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◆ 刻ノ桜 ~トキのサクラ~ ◆(1話)

樹齢1000年を超える桜には、魂が宿るという伝説がある…
その魂は精霊に姿を変え、空を自由に舞い、時の魔法を操るのだと言う。
しかし…
これはほんの一握りの家にある言い伝えであり…
実際にその姿を見たと言う者の記録は…

一つとしてない…

 ◆ 刻ノ桜 ~トキのサクラ~ ◆(1話)

私は恵まれている…はずだった…
優しい両親に、頼りになる2歳上の兄、可愛い3歳下の弟…
宮殿の様な大きな家で、何不自由のない贅沢な暮らし…

その家の一角にある、まるで図書館のような広い部屋には、沢山の本が並んでいる。
そこで動物や昆虫の図鑑を見るのが、毎日の楽しみだった5歳の女の子。
この物語は、幸せになる予定だった?この少女から始まる。

高い窓から、爽やかな朝陽が溢れる部屋…
その光を浴びてキラキラと光る、フォークやスプーン…
白基調のお皿やカップには、鮮やかなブルーの模様に、細かな金細工が入っている。

そのお皿の上には、焼きたてのフワフワなパンに、朝採り野菜の新鮮なサラダ…
厚めのベーコンの上に、ふっくらと盛り上がった目玉焼き…
朝から素材を厳選した、とても豪華な料理が食卓に並んでいる。

ゆっくりとスープを飲み終え、母は優しく微笑みながら言った。
「舞は将来、何になりたいのかな?」
「舞は自由に生きて良いのよ、好きな事をして幸せに暮らしなさい」

「うん、私はね…私は大きくなったら沢山の動物たちと、ずっと…ずう~っと、一緒に暮らすの」
満面の笑みで答える舞。

足元には愛犬の【ココ】が寝転んでいた。
穏やかで優しい性格の【ココ】
なぜか舞に一番なついて、いつも傍を離れなかった。

そんなある日、【ココ】が倒れた。
息が荒く熱もある。
「【ココ】!大丈夫? どこが痛いの?」
舞はどうして良いか分からず、オドオドするばかり…
「クーーーン…クーン…」
か弱い声で鳴く【ココ】を母親が抱き上げると、急いで病院に連れていった。

しかし…懸命の治療も虚しく…
「クン…」。
聞こえるかどうかの僅かな鳴き声を最後に、【ココ】は息を引き取った。
舞はその声を決して忘れる事は出来ないだろう。

「私は何も出来なかった…【ココ】ごめんね!」
舞は部屋に籠り、夜遅くまで泣きじゃくった。

次の日、図書室にはまぶたを大きく腫らした舞の姿があった。
「私はもっともっと本を読んで、勉強する!」
「こんな思いは二度としたくない!」
「この思いを絶対に忘れない…次は絶対に助けてみせる」
この日、舞は心に大きな誓いをたて、生物学に目覚めたのだった。

小学生になると、益々集中し、勉強そっちのけで本を読みまくった。
歳の近い弟は、暇を持て余し、毎日のように
「お姉ちゃん、遊んで~」
と、せがんでくる。

舞が11歳になったある日、今度は弟が目の前で倒れた。
近所の大きな病院に救急車で運ばれたが、処置を続けるも具合は悪くなる一方…
有名な病院に移り、徹底的に検査したが、現代の医学では病名を特定する事すら出来なかった。

「あの時と同じ思いをしてたまるか!」
舞は医学や人体解剖学はもちろん、細菌や毒に関しても徹底的に調べた。
ネットでも膨大な量の論文や解析報告書を読みまくった。

しかし2年後…懸命の延命治療もむなしく、弟は帰らぬ人となってしまう。
「絶対にこんな思いはしないと誓ったのに…」
13歳になった舞は、この悲しみを元に、今までにも増して医学にのめり込んでいった。

それから約6年が過ぎ、舞は日本の名門、東大の医学部にいた。
しかし、すでに教授レベルの知識を有する舞にとって、学校の授業は退屈以外の何物でもなかった。
そのせいもあり授業に参加するより、新しい課題を見つけ、一人で研究に没頭する日々が続いた。

そんな日々を過ごすあまり、自然と出席日数も少なくなり、必要な単位も不足。
最初は大学側も、優秀な成績を持つ舞を大目に見ていたが…
大学側の要請も無視続ける舞。

3年間の出席日数は既定の半分以下どころか、10分の1程度…
4年目を迎える前の春休み、改善の自覚なしとして、とうとう退学処分となってしまった。

誰の目にも彼女の、優秀な医者としての未来が目に浮かんでいたであろうが…
明るく笑顔が絶えない可愛い少女が、気づけば根暗な引き籠りのニートになっていた。

起きてはパソコンに向かい、ずれたメガネから覗く目はトロンと死んでいる。
髪はボサボサで、肌はガサガサ…
21歳の、今が人生で一番楽しいであろう時期の女の子とはかけ離れている。

「舞~…今日はする事があるんでしょ…?さっさと起きて準備しなさい」
ノックの返事をする前に、乱暴にドアを開けた母が、カーテンをサッとあけると…
面倒くさそうに言い放った。

今日は大学の、退学通知書にサインをして、その手続きを終わらせる日だった。
毎日、昼夜逆転生活を送る舞は、ボーっとしながらも着替え、大学に向かう。

朝の通勤ラッシュは過ぎたとは言え、混雑している駅のホームを進む舞…
フラつき加減で朧気に歩いていると…
「ドン!」
階段に向かって急いで走り抜ける男に弾かれ コケそうになった舞は、とっさに両手を突き出す。

「ドン!」
「え?…」
「キキキキキーーー」

激しいブレーキ音をたて、この駅を通過予定の特急電車が止まった。
「な…何が起こったの…」
舞は放心状態で呆然としていると…

「キャアー、人殺しーーー」
その様子を見ていた、隣の女がそう叫んだ!

「この人、今わざと突き落として、人を殺したわ」
「誰か、早く警察を呼んで!!」
その女は舞を指差していた。

「え?私は何も…」
そう言いかけた時、他の男も叫んだ。

「俺も見たぞ、逃げないように早く取り押さえろ!」
舞は数人に取り囲まれ、手を掴まれた。

「誤解です、私は何もしていません」
「私は本当に何もしてないんです。ただ後ろから押されただけなんです」
連れて行かれた警察署や、その後の裁判でも何度もそう訴えた。

しかし運が悪い時は重なるものである。
死んだのは大学の同級生。
先日、退学通知を受けて呼び出された日に、一方的に言いがかりをつけられ揉めてしまった。

その相手と一緒にいた友達の嘘の証言で、舞の殺意が認められたのである。
しかも駅の2人の目撃証言が証拠となり、舞は有罪となる可能性が高くなっていた。

「どうしたらいいの? 私、故意に殺そうとか考えた事もないのに…」
「ただ力強く押されて、とっさに手を伸ばしただけなのに…」

激しい失意の中で全く寝れず、最後の裁判に向かう途中…
無気力な舞の目の前に、どこか見覚えのある男が立っていた。

「よ…よくも私の娘を…」
その男は、怒りあらわに震えながら、ナイフを舞の胸に突き刺した。

「うっ…」
動きが止まり見開いた舞の目から、ツーと涙が頬を伝った。

「私は、2度とあんな思いをしたくない…ただそれだけ…」
「沢山研究して、沢山の人を救いたかっただけなのに…なぜ…」
意識が遠のく中、今までの記憶が走馬灯のように流れ走り去った。
そして静かに視界が、細く暗くなっていった…


「あれ?ここはどこ?」
「あっ!私はたしか死んだはず?」

寝起きのように、少しずつ広がる視界から、見慣れない天井が映し出される。
舞はとっさに、刺されたはずの胸を押えた。

「き…傷がない…」
「おかしい…私は確かに死んだはず?」
「もしかして、ここはあの世?」
舞はベッドからおりて部屋を見まわした。

「だけど、やけにリアルね…感覚もあるし」
部屋に飾られた花からは、香水の様なとても良い匂いが漂っている。
見ているもの、触るものなど…全てがリアルに感じられた。

そしてようやく、違和感に気付いた。
「あれ?手が小さくなってる!」
下を向くと、元々立派ではなかったが、胸の膨らみも全くない。

慌てて部屋の角に置いてある、姿見鏡を覗き込んだ!
「えっ…?」
舞は自分の姿を見て言葉を失った。

9歳~10歳くらいだろうか?
黒髪で貧相な、見た事もない女の子がそこに立っている。

「誰これ…? それになぜ子供?…まさかタイムスリップした?」
「けど…こんな場所も、こんな怖そうな目をした女の子も知らないし…」

「ちょっと待って、その前に私、胸を刺されて死んだんだよね?」
「あ~…もう何が何だかわかんない!!」
色々な記憶と状況が錯誤して、舞は頭を掻きながら左右に振った。

その時、おもむろに部屋のドアが開き、女性の声がした。
「お嬢様、今日は珍しく起きていらしたのですね」
「おはようございます」

黒と白のメイド姿をした、20歳前後の女性が入って来ると、スッと頭を下げた。
そして表情を変えることなく、目線だけをこちらに向けると…

「下でお食事の準備が出来ています」
「奥様たちは、もうお集まりですよ」
そう言うと、そそくさと下に降りて行った。

舞は状況が分からず、戸惑いながらも下にあるであろう、食事室に向かった。
「お嬢様、どちらに行かれるのです?」
先程のメイドが、オドオドした舞を不審に思いながら言う。

「そちらは化粧室でしょう?」
「まさか食事室の場所を忘れたのではないでしょうね」
相変わらず表情一つ変えず、冷ややかな目で見ながら言葉を発している。

「とりあえず、逆かな?」
舞は反対に歩くと、20人が余裕を持って座れるであろう、長いテーブルが…
3列は置けるくらいの大広間に出た。

テーブルの端には立派な服を着た、まだ30歳くらいの若い女性が佇んでいる。
鮮やかなスカイブルーの髪に、それを引き立たせるかのようなサファイアブルーのドレス
黄色のレースと白のリボンが、より静寂な気品を際立たせ、存在感を漂わせている。

「レニータ、ボーっとしてないで、反対に座りなさい」
立ちすくんでいる私に向かって、その女性が言った。

「何をしてるのレニータ、そこにいては邪魔でしょう」
「早く座りなさい」
その女性は、私を見ながら先ほどよりも大きな声で命令した。

「レ…レニータって私の事?」
疑心暗鬼な表情で戸惑っていると、その女性はボソっと…
「母親に向かってなんでしょうね、その目つきと態度は…」
深いため息をつきながら、呆れた顔でソッポを向いた。

「この子っときたら全く…」
何かを言いたげである。

そこに、真っ赤な髪をした立派な紳士と、エメラルドグリーンの髪の青年が息を切らしながら入って来た。
「お帰りなさい、あなた。【アーロン】も一緒なのね」
母親らしき人は、その二人に言った。

「ああ、【ソフィア】、今戻ったよ」
「今日は一緒に剣の稽古をしてたんだ、【アーロン】はもうすぐ卒業だからね」

その時こちらを見て、あからさまに不機嫌そうな顔をした父親らしき紳士が言った。
「ん?なぜレニータがこんな時間から起きているんだ…」
「【ソフィア】、何かあったのか?」

この私の母親と思わしき女性は【ソフィア】と言うらしい。
5歳離れた兄が【アーロン】
後で知ったのだが、この赤髪の父親は【レナード】と言うらしい。

「さあ、何しに起きてきたのやら…」
あたかも起きてくること自体、迷惑だと言わんばかりに【ソフィア】はトゲトゲしく言った。

食事の準備が終わり、皆が席に着いた時にレニータは気付いた。
父親を囲んで、【ソフィア】と【アーロン】が隣に座っている。
私はと言うと、数メートルも離れた反対側にポツンと一人で座らされている。

そして食事の様子を見守る、執事やコック、メイドさんたちも私の周りには誰一人寄り付かない。
そして、全員が私に冷たい視線を送ってくる。

その私を見る目には、見覚えがあった。
それは私が前世で、有罪が決まりそうな時に注がれた周りからの視線。
冷たく憎悪の塊で、私を軽蔑している「あの目」だ!

「ああ…そっか…私はこの世界でも酷く嫌われているんだ…」
その事に気付くと、再び激しい失意に襲われ、また殻に閉じこもるようになってしまった。


とにかく、ここの世界の状況が分からない事には一人では生きていけない。
そう思ったレニータは、家の書庫に入り浸った。

色々な本を読んで知ったのだが、この世界は、産まれた時の髪の色は必ず白であると記されている。
私は産まれた時から髪の色が黒…これが不吉がられ、嫌われている理由だった。

そして12歳になると、「洗礼」を受けるのが決まりらしい。
洗礼を受けると必ず、ステータスと言うものが表示されるようになる。

またその際に少数の人は髪の色が変化し、その色によって魔法の資質が分かるらしい。
とは言え、色が変わらない者が殆どで、当然ながら何も資質がない者は洗礼後も白髪のままである。

赤=火属性
青=水属性
緑=風属性
茶=土属性

殆どの人は、この4つの内のどれかに当てはまる。
ただこの4属性とは別に、極々少数の人はレア属性の2つの色になる事がある。

黄=光属性
紺=闇属性

基本的に、適性属性は一人につき一つであるが…
数百、数千万人に一人の割合で、複数の属性を持つものが現れるらしい。

母親【ソフィア】は、水属性
兄【アーロン】は、風属性(槍の使い手でもある)
父親【レナード】は、火属性(剣の使い手でもある)

貴族は遺伝により、基本的に何かしらの色に変化すると言われている。
そして髪の色が変化し、魔法の素質があると認められた者は、「魔法学校」に通わなければならない。

また白色のものでも、武術適性があると認められると「武術学校」に通える。
武術適性に関しては、本来の戦闘に特化したステータスに加え、本人の努力による向上が不可欠となるらしい。

「洗礼」を受けると表示されるステータスはこの様なものである。

★☆ メインステータス ☆★
≪会得している称号≫
【名前】(年齢)[職業]
LV(強さ)
EXP(経験値)
HP(ヒットポイント)
MP(マジックポイント)
SP(スキルポイント)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)・丈夫さ(物理防御力)
知力(魔法攻撃力)・精神力(魔法防御力)

持久力(HPに影響) ・魔力(MPに影響)
素早さ(速さ、回避力)・器用さ(クリティカル率、生産スキル)

集中力(スキル、スキルポイント+全てのステに微影響)
運(ドロップ率、成功率、ステータス上昇率に影響)

●所持スキル
例)火属性魔法LV=1
  剣術LV=1など…

●特技
例)剣技《疾風斬り》など…

このように、「洗礼」を受けた者はステータスを表示出来るようになり…
その特性により、その後の適性クラスを目指し、習得する事となる。

そして両学校を卒業した者は、王国近衛兵団か、冒険者ギルドに所属する事が義務付けられている。
その事に関しては追々話していこう。

ちなみに[クラーク家]は〔ゼニウス王国〕の、田舎の『騎士爵』である。
『騎士爵』というのは、元々平民の者が、武功を上げる事により、特別に貴族と認められるものである。

平民だった父親の【レナード】は、何万に一人という平民ながら魔力を保有して産まれ…
剣技を磨いたのもあり、ここを治める【カーリス伯爵】家の将軍として度重なる戦に勝利!
国家を守った功績が認められたのである。

【カーリス伯爵】の領地は国の一番東にあり…
国境までの交易路の確保を任されるという重要な役割と…
温暖な気候を生かし、穀物処として国の食料確保にも貢献している。

その為財政はかなり安定しており、他の貴族に比べかなり裕福で権力もある。
父親がそこの将軍である為、我が家の財政も安定しており、兄は休みを利用して帰省しているものの…
普段は魔法学校がある王都でかなり贅沢な一人暮らしをしているのだった。

「ところで私…一体何歳なんだろ?」
「家族に聞くのが一番早いけど…変に思われちゃうよね…」

「ステータスが見れたら、分かるんだけどなあ~…」
「ま…まさかね…一応…」
「それを見るために必要な詠唱は…《ステータスオープン》と…」

★☆ メインステータス ☆★
≪会得している称号=なし≫
【レニータ・クラーク】(10歳)[職業=なし]
LV=1
EXP=0
HP=20
MP=345
SP=380

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =10
丈夫さ(物理防御力) =10

知力(魔法攻撃力)  =235
精神力(魔法防御力) =190

持久力(HPに影響) =10
魔力(MPに影響)  =265

素早さ(速さ回避力) =10
器用さ(クリティカル)=180
集中力(スキルに影響)=295
運(ステータス上昇率)=320

●所持スキル
火属性魔法LV=1
水属性魔法LV=1
土属性魔法LV=1

光属性魔法LV=1

鑑定LV=1
精神異常耐性LV=5

●特技
なし

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》

「えっ?み…見れてる!!なんとなく嫌な予感はしたけど…」
「しかし、数値に凄く差があるような…」

「てか私、やっぱり10歳だったのか…それなのに何でステータス見れちゃうんだろ?」
「しかも、精神異常耐性LV=5って…前世でもこの世界でも、かなり辛い人生を送ってるみたいね…」
「不幸な私…」

レニータは胸に手を当て、自分を慰めるように労わった
「ホワーン」
手が金色に光ると、その光は体全体を包み込み、優しく癒してくれた。

その瞬間、ステータスウインドウが開くと、どこからともなく…
「《マインドヒーリング》を覚えました」
「《ライトヒーリング》を覚えました」
という、何かの案内のような声が流れた。

「あ、光属性のレベルが上がってる…」
レニータは慌ててウインドウに目を凝らすと、光属性魔法がLV=2になっていた。
しかも特技欄に新しく、《マインドヒーリング》と《ライトヒーリング》が増えている

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》

「って…どう考えても今のはコレのせいよね?」
「まさかとは思うけど…想像したら魔法って発動しちゃうのかしら?」
今度は慌てて、魔法の事が書かれた書物を読み漁った。

『魔法とは、精神を集中して魔力をコントロールし…
それを具現化して放出する事で、効果を発揮するものである。』

『コントロールした魔力を放出するには、正確に呪文を詠唱する必要がある』
『ハイクラスな魔法程、集中力を要し呪文も長くなるため、使用出来るものは限られてくる』

『魔法のクラスは低級・中級・上級・最上級の4段階に分かれている』
『そして同じ級でも、詠唱した際に現れる魔法陣の大きさにより、その魔法の威力が異なる』
『今までに最上級魔法を唱えられたのは、伝説の大賢者のみとされ、詳しい事は解明されていない』

属性別の魔法の種類は次のとおりである。
基礎魔法に関しては、その属性適性があるものは必ず学園生活の修練により得られるもので…
中級に進める僅かな物を除いては、生活魔法として活用し、生計を立てている者も多い。

火)《ファイアー》(炎の玉)基礎
  《ウォーム》(加熱)基礎

  《ファイアーバレット》(炎の弾)初級
  《ファイアーキャノン》(炎の砲弾)中級
  《エンチャントファイアー》(火属性付与)中級
  《ファイアーストーム》(高熱炎の竜巻)上級


水)《ウォーター》(水の玉)基礎
  《アイス》(冷却)基礎

  《アイスランス》(氷の槍)初級
  《レイン》(雨降らす)中級
  《エンチャントフリーズ》(水属性付与)中級
  《アイスブリザード》(氷刃の吹雪)中級
  《アイスワールド》(一面を氷結)上級


風)《ウインド》(風の渦)基礎
  《アビリティサーチ》(能力解析)基礎

  《ウインドカッター》(風の刃)初級
  《テイルウインド》(身体能力向上)中級
  《ウインドレーダー》(広範囲探知)上級
  《ハイテイルウインド》(大幅な身体能力向上)上級


土)《アース》(土の玉)基礎
  《アークミリィー》(錬金)基礎

  《ストーンウォール》(石の壁)初級
  《アイアンウォール》(鉄の壁)中級
  《クリスタルシールド》(透明な魔法障壁)上級
  《アースクエイク》(地震で地面を割る)上級


光)《ライト》(光の玉)基礎
  《ヒール》(癒しの光)基礎

  《ライトヒーリング》(ロークラス治癒)初級
  《マインドヒーリング》(精神異常回復)初級
  《ポイズンヒール》(解毒)初級
  《ハイヒーリング》(ハイクラス治癒)中級
  《エンチャントライト》(光属性付与)中級
  《クイックムーブ》(空間移動)上級
  《エクストラヒーリング》(全部位治癒)上級(レニータは精神異常回復・状態異常回復も)
  (精神異常回復・状態異常回復が出来る人もいる)
  《エリアハイヒール》(範囲ハイクラス治癒)上級


闇)《ダークネス》(暗闇)基礎
  《ドレイン》(HP吸収)基礎

  《アシッドレイン》(毒の雨)初級
  《スリープミスト》(眠りの靄)初級  
  《ソウルハーデンス》(硬直)中級
  《アビリティハイディング》(能力隠蔽)中級
  《エンチャントダークネス》(闇属性付与)中級
  《ドレインタッチ》(物理攻撃ヒット時HP吸収)上級
  《シャドウステルス》(気配を消す)上級
  《マナドレイン》(MP吸収)上級

どの本を読んでも同じような事が書かれている。

「あれ、想像したらどんな魔法でも作れるって訳じゃないのね…」
「やはり無詠唱魔法…これが今《マインドヒーリング》と《ライトヒーリング》を覚えられた理由か…」

「てか私、それを覚えたと言う事は、基礎魔法は全て習得済なんだ!」
というのも、レニータは転生時に得られた、「運」が異常に高かかったのである。

「私は前世で、子供の頃から10年以上、色んな勉強をし続けた!」
「一部の専門知識と、なによりも集中力には自信がある!」

「それに科学的な、物質の構成に必要な成分、変化させるために必要な条件…」
「必要な知識は頭の中に入ってるから、具現化なんて私に言わせれば、お子様のおママゴトね!」

見た目が思いっきりお子様の、レニータが言うセリフではないが…
徐々に強気な性格に変わっていっているようだった!

また、《マインドヒーリング》の精神的作用なのか…
根暗ニートが、前世の幼い頃の陽気なお気楽少女に戻りつつある。

書物によると、この世界に巣食う魔物は、ダンジョンと呼ばれる所から生まれるらしい。
ダンジョンは突然生まれ、気づかぬうちに魔物が外に溢れてくる。
逆に言えば、魔物が外にいる場所には、新しくできたダンジョンがあると言う事である。

そう、国同士の戦争以外に、外に出て来た魔物を討伐し、ダンジョンを攻略するため…
王国近衛兵団と、冒険者ギルドが必要となってくるのである。

そしてダンジョンをクリアしたものには、≪ダンジョンマスター≫の称号がつく。
高ランク冒険者の、ほんの一握りのものだけに与えられる栄誉である。
ちなみにダンジョンは、突然現れる代わりに攻略から1年後に消滅する。

「ん~特に今する事無いし…とりあえず≪ダンジョンマスター≫を目指してみっかな~」
とりあえずで目指せるものではないが…
時間が経つにつれ、レニータのお気楽さが増していっているようだった。

次の日、レニータは近くの森の中にいた。
「いくらなんでも、今の状態でいきなりダンジョンに行くほど、おバカじゃないわよ!」
なんか一人虚しく呟いている。

「とりあえず全部の魔法を試して、どれが使い勝手が良いか試してみるかな」
まずは炎の成分と燃焼条件を具現化して、ピストルの弾のようにコントロールして…
一点集中して発射!!

目をつぶり、真っすぐと突き出した手のひらから魔法陣が現れる。
その先に、炎の塊が発生すると徐々に凝縮されていく。

「ヒュン、ドカーーーーーン!」
大きな音と共に、目の前にあった大きな岩の塊が吹き飛んでいた。

「うーん…ちょっと時間がかかりすぎるわね…」
「接近された時にこれでは間に合わない…」

「そうだ!魔法名だけを唱えて、それを具現化する際のイメージに変換してみよう」
「行くわよー!《ファイアーバレット》」
発声と同時に放たれた炎の弾は、先ほどよりも遥かに早く、威力も強かった。

「よし、これなら…」
レニータが手ごたえを掴んだと同時に、あのアナウンスも流れる。
「特殊固有スキル《詠唱省略》を覚えました」

「《詠唱省略》か…うん、これなら余程接近されない限り大丈夫ね!」
レニータは日が暮れるまで、全ての属性の初級魔法を試していった。

中級、上級魔法もイメージして試してみたが、今はまだ使えなかった。
属性レベルや、魔法系のステータスが上がらないと無理らしい。

火属性の他に水属性、土属性など…
色々と試して帰宅したレニータ…家に帰り着くと、凄まじい脱力感が襲ってきた。

「多分、MPが枯渇寸前の影響ね…」
MPが枯渇するとそういう風になると、魔法書の最後の方に書かれていたのを思い出した。

レニータは深いため息をついてお風呂から上がると、ベッドに横になってステータスを開いてみた。

★☆ メインステータス ☆★ [※()内は前回からの増量値]
≪アークメイジ≫
【レニータ・クラーク】(10歳)[職業=なし]
LV=1
EXP=0
HP=20
MP=347(+2)
SP=381(+1)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =10
丈夫さ(物理防御力) =10

知力(魔法攻撃力)  =237(+2)
精神力(魔法防御力) =192(+2)

持久力(HPに影響) =10
魔力(MPに影響)  =267(+2)

素早さ(速さ回避力) =10
器用さ(クリティカル)=180
集中力(スキルに影響)=297(+2)
運(ステータス上昇率)=320

●所持スキル
火属性魔法LV=2(+1)
水属性魔法LV=2(+1)
土属性魔法LV=2(+1)

光属性魔法LV=3(+2)

鑑定LV=1
精神異常耐性LV=5

●特技
火)《ファイアーバレット》(炎の玉)(New)
水)《アイスランス》(氷の槍)(New)
土)《ストーンウォール》(石の壁)(New)

光)《マインドヒーリング》(精神異常回復)
  《ライトヒーリング》(ロークラス治癒)

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》

「うーん、魔物を倒してないから経験値は増えてない…」
「だからレベルは上がってないけど、ステータスは微妙に増えるのね…」

「努力次第では、ある程度の能力の上昇も見込めるって事かな?」
「なんか前世にあったゲームみたいな感じね」

いやいや、レニータさん勘違いしないで下さい…
普通は1日で1~2も上昇しないんですよ!

あと、知力と魔力が200を超え、3属性以上の魔法全てがレベル2を超えるとつく…
魔法使い特有≪アークメイジ≫の≪称号≫を手に入れているのを、お見逃しなく!

 

【2話に続く】⇦ココをクリック

 

 

★ 刻ノ桜 ~トキのサクラ~ ★(14話)

そうこうする内に、レニータはある事に気付いた。
「レッド・ウィスプ【ホムザ】の≪称号≫は≪精霊の使者≫となっていた」
「もし私のレベルが高ければ、≪火精霊の使者R≫と見えていたかも知れない」

「そうすると…」

●特技
火)《ファイアーバレット》(炎の弾)
  《ファイアーキャノン》(炎の砲弾)
  《ファイアーストーム》(炎の竜巻)
  《見抜けません》

「ここの《見抜けません》は、間違いなく《プロミネンスフォール》よね」

●所持スキル
《見抜けません》
精神異常耐性LV=16
状態異常耐性LV=15

「所持スキルの《見抜けません》=火精霊魔術としたら…コッチに関しては…」

●特殊固有スキル
《見抜けません》
《見抜けません》

「一つは《火精霊の加護》じゃないだろうか?」
「それならあのレベルで、あれだけの威力があったのは理解出来る」

「と言う事はまず、何かしらの《精霊の加護》が欲しいところね」
「あと、そろそろ装備も揃える頃合いだわ」
「名前も顔も、これだけ売れちゃったら、隠す意味ないしね」

「丁度、10日後から夏休み…期間は2か月もある」
「材料を調達する前に、【ゼフ】さんに相談して見るか」

レニータは授業が終わると、この街の鍛冶屋兼、素材屋の店主【ゼフ】を訪ねた。
「【ゼフ】さん、こんばんは、ちょっと相談があるんだけど…」

レニータはこれまでの事を、順に話した。
【カーネリー】の装備に関して、これにはさすがの【ゼフ】も驚いたようで…
質感や色、性能など、詳しく聞いてきた。

「〘カーネリーメイルセット:S〙は、カーネリー防具の集合体の一つだ」
「同じ種の防具を3つとも揃える事を意味しておる」

「そうする事で、【セットボーナス:全てのステータス+50】などの効果が追加されるんだ」
「しかし、これだけの効果を求めるとなると…」

「[ウルツライト]、こいつは必須だな…」
「言ってなかったが、質の高い装備は素材により、殆どランクが決まって来るんだ」

〘青銅シリーズ:E〙
〘鉄シリーズ:D〙
〘鋼シリーズ:C〙
〘ダイヤモンドシリーズ:B〙
〘カルメタルライトシリーズ:A〙
〘ウルツライトシリーズ:S〙

それと同時に同ランクの魔物素材も必要となってくるんだが…
その質で同じランクの防具でもかなり差が出てくる。

「完成品のデキが悪くなると、ランクが落ちる時もある」
「ただ、[ウルツライト]は、伝説級の素材でな…そうそう見つかるもんじゃない」

「[カルメタルライト]なら、Sランクダンジョンの15階層以下にあると、聞いた事がある」
「まあ、Sランクダンジョンの15階層ともなれば…」
「高ランク装備でガチガチに固めたAランク冒険者が、最低10人はいるだろう」

「残念だが、この国にはSランク冒険者はいないし、Aランク冒険者に限っても数えるほどだ」
「申し訳ないが、こいつは諦めた方がいいだろうな」
「あと、さっき言っていた精霊魔術に関しては、俺には全く分からんよ」

【ゼフ】は詳しく説明してくれたが、半ば諦めているようだ。
また、《精霊の加護》については、全く情報を得られなかった。

こうなったら、この国のAランクダンジョン以上を攻略しつくしてやる。
夏休みまでは色々な知識を覚えつつ、戦術や効率良く魔法を連携・発動させる方法を研究した。

そして終業式が終わった夏休み前日、ある事に気付いた。
魔法攻撃力は、ほぼほぼ「知力」の高さで決まるけど…
その他の魔法関連で重要なのはMP量を除くと、精神力・器用さ・集中力か…

気を鎮めるとは言うけど、この世界に「気」という概念はないみたい?
「心頭滅却すれば火もまた涼し…」
「よし、明日までは「気」で魔力を活用する方法を研究するか!」

「日本には座禅という心を落ち着かせる方法がある!」
「試しにやってみよう」

風通しの良い丘に行くと、目を閉じて早速座禅を試してみた。
「心頭滅却…心から雑念や邪念を払いのけて、無の境地に至るの…」
「明鏡止水、濁りのない鏡と静まり返った水のように、澄み切って落ち着いた心に…」

ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐いて…
そうやっている内に、生まれてから今までの事をじっくりと思い出していた。

幼い頃は母に愛され何も考えず、ただ幸せを願って暮らしてた…
そして愛犬の【ココ】と、可愛い弟が死んで…
更にあの事件で罪もないのに殺されて…

こっちの世界に転生しても、嫌われ憎まれ…
なぜ私ばかり、こんな目に合うの?
絶対に許さない…

ずっとそう思ってたけど、【キャサリン】や【ニコラス】達…
ギルドの方たち…国王様…
こんな顔だけど色んな人と出会って、私は幸せな方なのかも知れない…

私より不幸な人って、元の世界にもこっちの世界にも沢山いるよね?

絶対に許さない…そう思ってたけど…
もうキッパリと忘れちゃおうかな…

「うん、もう忘れよう!」
レニータは鎮まった心のままに、無意識の内に口にした…

その時…!!
フッと…辺りが一瞬暗くなって、急に時間が止まった感じがした。

「パキーーーン!!」
鏡が割れたような音が響き渡ると、〘時の杖:SS〙が眩い光を発し、レニータを優しく包んだ。

「ゴーーーン…ゴーーーン…」
お寺の鐘の音のような響き渡ると、いつもの声が聞こえてきた。

「十戒(ジッカイ)ノ呪いが解けました!」
「対象の真実を隠す、また姿が変化する効果が解けました」
「全てのステータスの能力を2割下げる効果が解けました」

「これは全てを憎み悔やみ、恨んだ転生後のあなたへの戒めでした」           
「これは隠しステータスでした」

そういうとなんと!!
レニータの姿が銀髪の美しくも愛らしい、それはそれは魅力的な少女に変化していった。

誰がどう見ても、位の高い貴族の幼き淑女。
今までとは打って変わった、優しそうな眼差しから生まれる、天使の微笑み…

し・か・し…
鏡がないので当の本人は全く気付いていなかった…

「何が起きたの?」
キョロキョロとあたりを見回していると…

また声が続いた…
「ステータスが元に戻りました」
「≪刻ノ転生者R≫の称号を獲得しました、これは隠しステータスなので誰にも見えません≫」
「これにより、更にステータスに補正がかかりました」
「特殊固有スキル《明鏡止水》を覚えました」
「特殊固有スキル《刻ノ精霊の加護》を覚えました」
「これにより、刻ノ精霊…ゴニョゴニョ…」

えええーーー…?
驚きのあまり全てを聞いてなかったが…
なんか凄い事を言っていたような…と急いでステータスを確認してみた。

≪刻ノ転生者R≫か…「ステータスオープン!」っと…

★☆ メインステータス ☆★ [()内は前回からの増量値]
≪刻ノ転生者R・大賢者R・魔法剣士B・聖騎士B・ダンジョンマスターB≫
【レニータ・クラーク】(12歳)[職業=魔法学院学生]
LV=63
EXP=262,335,000
HP=1150(+400)+(装備分+150)
MP=1840(+600)+(装備分+50)
SP=1280(+460)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =650 (+210)+(装備分+60)
丈夫さ(物理防御力) =880 (+330)+(装備分+60)

知力(魔法攻撃力)  =1350(+470)+(装備分+50)
精神力(魔法防御力) =1190(+370)+(装備分+50)

持久力(HPに影響) =830 (+300)+(装備分+50)
魔力(MPに影響)  =1270(+330)+(装備分+100)

素早さ(速さ回避力) =710 (+250)+(装備分+100)
器用さ(クリティカル)=900 (+300)+(装備分+100)
集中力(スキルに影響)=1120(+300)+(装備分+50)
運(ステータス上昇率)=930 (+240)+(装備分+100)

●所持スキル

火属性魔法LV=20(MAX)
水属性魔法LV=13(+1)
土属性魔法LV=17(+1)

光属性魔法LV=20(MAX)
刻ノ精霊術LV=1(New)

杖術LV=19(+1)
剣術LV=19(+1)
槍術LV=19(+1)

鑑定LV=20(MAX)
精神異常耐性LV=20(MAX)
状態異常耐性LV=19(+1)

●特技 ※4属性魔法=《基礎~上級全て詠唱可能》

火)《ファイアーバレット》(炎の弾)
  《ファイアーキャノン》(炎の砲弾)
  《エンチャントファイアー》(火属性付与)
  《ファイアーストーム》(炎の竜巻)

水)《アイスランス》(氷の槍)
  《レイン》(雨降らす)
  《アイスブリザード》(氷刃の吹雪)
  《エンチャントフリーズ》(水属性付与)
  《アイスワールド》(一面を氷結)

土)《ストーンウォール》(石の壁)
  《アイアンウォール》(鉄の壁)
  《クリスタルシールド》(透明な魔法障壁)
  《アースクエイク》(地震で地面を割る)

光)《クイックムーブ》(空間移動)
  《エクストラヒーリング》(状態異常回復・精神異常回復・全身治癒)
  《エリアハイヒール》(範囲ハイクラス治癒)

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》
《解析》
《デュアル詠唱》
《明鏡止水》魔法発動速度100%上昇・ディレイタイム無効・魔力コントロール上昇
《刻ノ精霊の加護》(全ての攻撃力+50%上昇、魔法ダメージ半減、最上級魔法詠唱可)

●装備アイテム
〘時の杖:SS〙
【知力+5】
※杖術・剣術・槍術の熟練度上昇速度増加

〘ヘル・バーサーカーのローブ:A〙
【精神力+50】
【知力+45】
【魔力+100】
【素早さ+50】
【集中力+50】
※相手の全ての攻撃を10%軽減する
※魔力を通すと大きさや色が変わる

〘レオンハートの首飾り:S〙
【HP+50、MP+50】
【筋力+30、丈夫さ+30、素早さ+50】
※5秒ごとに最大HPの1%を自動回復
※神獣【レオンハート】を召喚可能
※1度装備すると絶対に外せない

〘真実の指輪:S〙
【HP+100】
【器用さ+100】
【運+100】
※どんな隠蔽も見破る
※1度装備すると絶対に外せない
※装備条件:LV60以上

〘バーサクリング:B〙
【持久力+50】
【丈夫さ+30】
【筋力+30】

●所有アイテム
〘フレイムアックス:A〙
〘デーモンソード:A〙
〘清風の指輪:A〙
〘ブラインドローブ:B〙

「また外せないから怖いけど、ま~いっか…」
ついでに所持していた〘真実の指輪:S〙も装備していた。

「てか、ステータスが凄い事になってる…」
「これ相当力を抑えないと、練習で死人が出るパターンだわ…」

「パッシブスキルの《明鏡止水》を覚えたから良かったけど…」
「これなかったら普通にヤバかったわ~」

レニータはホッと胸をなで下ろした。
そして夜中まで「気」の充実に没頭した次の日、夏休みの初日を迎える。

私と、【オースティン】、【レオン】、【ジーク】、【キャサリン】、【ニコラス】
始めは5人と1匹で行く予定だったが…
プライドの高い【アッシュ】第3王子が、話を聞きつけて、無理やり入り込んで来た。

「足手まといが増えたわね…」
レニータは心の底で呟いた。

そして待ち合わせ場所に着いたが…
誰も話しかけてくれない。

それどころか、男2人はイヤらしい目でこっちをみている。
勿論、【ジーク】と【アッシュ】である。
しかし、目が合うと気まずくなったのか反対を向いて誤魔化している。

「ねえちょっと…みんな…」

「なぜ何も言わないの…?もう全員揃ってるんだし、そろそろ行きましょう?」
レニータが声を掛けると、一番の親友【キャサリン】がようやく気づいた!

「えええーーーーー?その声は、レ…?レニータ?…ど…どうしたのよー?」
その声を聴き、全員が一斉に振り向いた!!

「どうしたのって…なによ?」
「私、何かしたかしら?」

キョトンとしてるレニータに【オースティン】が言った。
「何がって…その様相はどうされたのです?」
「ほ…本当にお嬢様なんですか?」

「本当にって…?何言ってるの…私に決まってるじゃない」
「どうしたのさ、みんな…」

全員が一瞬で固まった!!
「どうもこうも、こんなに可愛らしくなられて…」

「本当にレニータ様なんですね、なんとも麗しゅう…」
【オースティン】は今まで侮辱され続けてきたお嬢様の変貌に、涙を流しながら喜んでいる。

【キャサリン】はレニータに抱きつき…
「うっわ~本当に可愛いい~!!なんだか妹が出来た気分」
ニコニコしながら頬をスリスリしてくる。

そして面倒くさい事が起きる…
あの二人…そう…【ジーク】と【アッシュ】の目つきが変わった。
2人とも、一瞬で心を奪われたようだ。

【アッシュ】の目つきに気付いた【ジーク】は…
「マイレディ…なんとも今日も美しい…」
今までに言った事もないようなお世辞を綴った。

「もうすぐ正式な結婚式を上げないと…」
「いつが良いかい?」

そう言って以前とは全く違う、優しそうな目で見てくるが…
レニータは気付いていた。
以前は偽善の目、そして今は…なんともイヤらしい目つきだ。

「絶対に式をあげてみせる!」【ジーク】と…
「絶対に婚約は破棄する!」と心に誓うレニータ…
さてさて、どうなる事やら…

なんだかんだで遅くなったが…
「てか、時間が勿体ないわ…早く行きましょう」
そういうとレニータは《クイックムーブ》で移動した。

まずは以前に通っていたケントス村のダンジョン[コートニー]の先を進める事にしたレニータ。
入口で案内板を確認して見ると…

■ ダンジョン案内板 ■

名称 =ケントス村のダンジョン[コートニー]
ランク=A
総入場者=1,831名
最高到達階層=16F

更新されてない最高到達階層を見て。ホッと胸を撫で下ろした。
「とりあえず、全員が、≪ダンジョンマスターA≫の≪称号≫になるまで、何週もするわよ」

最初は全員のステータスが安全圏に行くよう、11階層から始めた。
15階層のボス、ヘル・ウォーリア【ゴルゴノス】を倒したら、また11階からと言った感じである。

それを飽きることなく1日10時間、約20周を20日間ビッシリと続ける。
そのおかげで、【アッシュ】はLV40を…
【キャサリン】、【ニコラス】は、要約LV45を超えた。

【オースティン】はLV60、【レオン】はLV61となり、ステータスが上昇している。
みなが成長していく中、唯一【ジーク】は伸び悩んでいるようで…
全くステータスが上がってない。

それでも「そろそろ16階層の先に行くわよ」
頃合いを見計らっていたレーニタは全員に告げた。

16階層からはレベル60以上の魔物がゴロゴロ出てくる。
【アッシュ】、【キャサリン】、【ニコラス】は、やはりキツイ。

マッピングをしながら進まないといけないのに、その3人の回復も増え…
17階層に辿り着いたのは翌日だった。
それでも、2日間で16階層をクリア出来るのは、このパーティーだからである。

17階層は4日、18階層は10日、19階層を15日でクリアし、丁度1か月が経った今日。
20階層のボス部屋に辿り着いた。

中央には、日本でいう巫女の姿をした黒髪の乙女が、日本刀のような物をもって佇んでいる。
レニータは早速「鑑定」してみた。

★☆ メインステータス ☆★
≪ダンジョンボス≫
ソドム・シルクイーン【ミレーヌ】
LV=64
HP=1780+(装備分+250)
MP=720 +(装備分+150)
SP=1100+(装備分+50)

●サブステータス
筋力 =890+(装備分+150)
丈夫さ=760+(装備分+50)

知力 =480+(装備分+50)
精神力=820+(装備分+250)

持久力=900+(装備分+150)
魔力 =420+(装備分+50)

素早さ=810+(装備分+350)
器用さ=730+(装備分+250)
集中力=860+(装備分+50)
運  =550+(装備分+50)

●所持スキル
剣術LV=20
風属性魔法LV=20

状態異常耐性LV=18
精神異常耐性LV=18

●特技
風属性魔法=《基礎~上級全て詠唱可能》

剣)《一刀両断》(攻撃力+50%)
  《切り返し》(カウンター)
  《真燕返し》(2段斬り)
  《乱れ斬り》(瞬時5撃)

●特殊固有スキル
《澱みの乱舞》(特定の場所に魔力を貯め姿を偽る)
《剣の舞》(澱みの乱舞の連携技、360度全ての方向から剣が突き刺さる)
《無隠斬り》全くの無音にて振り下ろす剣技
《無心斬り》相打ち覚悟で致命的なダメージを与えられる神速の剣技

●装備アイテム
〘ミレーヌソード:S〙
【筋力+100】
【器用さ+100】
【素早さ+100】
※剣スキルのダメージ50%上昇

〘ミレーヌの衣:S〙
【持久力+100】
【精神力+100】
【素早さ+100】
【HP+200】
【MP+100】
※セットボーナス:全てのステータス+50
※5秒ごとに最大MP・最大SPの1%を自動回復

〘ミレーヌの靴:S〙
【精神力+100】
【素早さ+100】
【集中力+100】
※気配を消し、移動の際に全く音がしない

「こ…これは…」
ネームドは当然としても、≪ダンジョンボス≫でセット装備持ち…
「Aランクダンジョンでも、最もSランクに近い難易度ダンジョンに間違いない」

「鑑定」でステータスを見れる、レニータだけが気づいた事実だった。
ここは仲間と戦うと死人が出る!
そう判断したレニータは、対峙直後にこう述べた。

「悪いけどみんな…ちょっとやっかいな相手なの…」
「私の姿も変わった事だし、記念に私に任せてくれる?」
呪いが解けた後も、素直になれないレニータだった。

「分かった!ここは君に任せるよ…」
最もレニータを信頼している【ニコラス】は安心して任せたが…

「何言ってるのよ…私の可愛い妹を殺すつもり?」
レニータを溺愛しつつある【キャサリン】の激怒を促してしまった。

「あんたってもう…」
こうして【ニコラス】と【キャサリン】の親しき仲に、一筋のヒビが入っていくのであった。

それとは別に戦闘態勢に入っているレニータ…
相手の情報を得て、戦い方に有利な状況だが、慎重に攻めていく。

「この敵のステータスとスキルは、どうみても隠密系の剣士」
「不意打ちや、無我の境地・領域からの攻撃が得意なんだろうけど…」

「悪いけどこっちには、〘真実の指輪:S〙があるのよね!」
おまけに《明鏡止水》のスキルで、この世界には概念がない「気」を捉える事が出来る!
油断して仲間を失わない為にも、速攻で決める!

【ミレーヌ】は《澱みの乱舞》で姿を隠し、《剣の舞》でレニータを取り囲み瞬殺しようとするが…
相手の居場所を掴んでいるレニータには全く意味がなかった。

「そこから〘ミレーヌの靴:S〙の効果で幽霊のように移動し…
《無隠斬り》で、相手は気配を感じることなくトドメを刺すんだろうけど…」
「私には無駄よ!」

【ミレーヌ】が無音で踏み込んできたが…
レニータは瞬時に先読みし、相手の後ろに回り込んだ!

「前回と同じ戦法だけど、私じゃなかったら不可能でしょうね」
どんなに気配を消しても見破れる〘真実の指輪:S〙と…
《明鏡止水》で相手の気の流れを読める、レニータにしか出来ない芸当だった。

「あなたにはコレで充分でしょう…《ファイアーキャノン》・《ファイアーキャノン》!」

以前は少しタメがあったが…
これまた《明鏡止水》魔法発動速度100%上昇のおかげで、かなり使い勝手が良くなった。
素早い相手に対して、《デュアル詠唱》での範囲攻撃連発は、凄く有効である。

【ミレーヌ】は何もする事ができず力尽きていった。
これには周りが驚いた!!

12歳の女の子が、いとも簡単にAクラスダンジョンの、普段よりは5階層下にいる…
Sクラスに近いボスを、ほぼ一撃で単独攻略したのである。

瞬く間に噂は広がり、我が国の【ロバート】国王は勿論…
【ジーク】の父親、〔ドルンコア帝国〕の国王【ウォーレン】にも伝わった。

しかも、討伐した瞬間に姿が変わり聖女になったとか…
本当は聖女なのに悪役を演じていただとか…

実は聖女は魔族の化身なのではないか…などなど…
ただ単に呪いが解けただけなのに、根も葉もない噂までが広がっていったのである。

 

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★ 刻ノ桜 ~トキのサクラ~ ★(13話)

招待試合から数日後、レニータはゆっくりと目を開いた。
あの試合から5日間、ずっと眠っていたのである。

あの膨大な魔力量が枯渇したのだから、それも頷ける。
とりあえず、目が覚めたレニータは何故か気分が良かった。
眠っている間、ずっと【キャサリン】、【ニコラス】と3人で遊んでいる夢を見ていたからである。

「あ、レニータ…気がついたのね」
丁度部屋に来ていた【キャサリン】が、目を覚ましたレニータに気付くと、心配そうに覗き込む。

「ところでレニータ、あなた大変な事になってるわよ」
【キャサリン】が心配をよそに、開口一番に言った。

あれから5日間、眠っている間に広まった噂に〔ドルンコア帝国〕は面子を潰され…
そこにつけこんで来る、敵対国の思惑にハマらぬよう、あの時の【ジーク】が転校してきたのだった。
言い換えれば【ジーク】は、国家友好の餌にされたのである。

「また厄介な問題が起きたものね」
レニータは、まるで他人事の様に話したが、実は本当はそれだけではなかった。
【キャサリン】は本当はもっと大事な事を伝えたかったが、レニータは目覚めたばかり…

告げる事が出来なかった。

翌日、久しぶりの登校で、なんとなく気まずい雰囲気に包まれているレニータ。
「おはよう…」

いつも通り、誰にも聞こえないような小さな声で教室に入ったのだが…
そこには、あの時のアイツがいた。

招待試合で散々嫌味を言われた、〔ドルンコア帝国〕第2王子【ジーク・ドルンコア】である。
そしてなんと、その男はレニータの前で跪き、手を胸に当て挨拶してきた。

「これはレニータ嬢、本日も麗しきお姿でなによりです」
なんか心にもない事を絶対に無理に言ってるようで、マジ気持ち悪い…レニータはそう思った。

「あなたと戦い、その恐ろしさに…いや…その強さに私は感服いたしました」
「父上と話し合った結果、私はあなたを嫁として迎える事となりました」

「[クラーク家]のご両親には、すでに了承頂いております」
「これから、末永く宜しくお願い致します」
そう言うと、【ジーク】は、呆気に取られているレニータの手を取り、甲にキスをした。

「は…?今、なんつった?」
突然の事に、5日間眠りについていたレニータの脳は、正しい判断をする事が出来なかった。

「いや、私とあなたは婚約したと…つまりあなたは、私の妻になる…と言う事です」
【ジーク】は平然を装うも、実は正直なところ、恐怖の方が勝っていた。
額からは冷や汗が流れている。

「と言う事で、これからも宜しくお願い致します」
【ジーク】はレニータの手を取ると、席に促し、チョコンとその隣に座った。

「はぁ…?本当にどういう事よ…」
恋愛経験どころか、友達すら最近までいなかったレニータは、どう反応したら良いのか全く分からず…
呆気にとられて遠い何かを見ているだけだった。


それからずっと付きまとってくる【ジーク】
「まあ婚約はいずれ解消すればいっか…」
正直、面倒くさかったが両国友好のためだし、少しの間我慢する事にした。

ただこの国で会う、初の学生[Aランク冒険者]である。
授業の戦闘訓練では、一番手ごたえがあった。

2月20日に、年に2度のクラス対抗戦も圧勝し、来年も無事にA組が確定…
そして春休みを迎える。

その間も【キャサリン】と【ニコラス】、【ジーク】に加え…
【オースティン】【レオン】の5人と1匹?で、ランクA・ケントス村のダンジョン[コートニー]に通い詰めた。

それから2年生となり、日々成長していく仲間たち…
ただそれとは裏腹に、レニータと【ジーク】の成長は止まっていた。

「ここ1年近くなるかな…全くステータスが上がらないの…」
2年生になって一月半が過ぎた、ある日の放課後。
隣に座ってきた【ジーク】に、レニータは言った。

「おや?レニータの方から私に話しかけてくれるとは…少しは進展したのかな?」
【ジーク】の恐怖感は、時が経つにつれて薄れ、普通に友達感覚で話せるようになっていた。

「うーん…それは俺も同じだな」
「以前の招待試合の1か月前に、レベルが60になったんだけど…あれから数ヶ月経つのに、全く上がってない」
【ジーク】も同じような体験をしているようだ。

「そのレベル60と言うのがネックなのかな…そこがカンスト…つまり人がなれる最大のレベルとか…」
レニータは、うつむき加減で頭で仮説を立てた。

「さすがにここから先は分からないな…」
【ジーク】も、この事に関しては説明出来なかった。

「じゃあ、2人でSランクダンジョンを攻略してみない?」
「実を言うと、≪ダンジョンマスターA≫の称号は、父上の口利きで…」

「あの招待試合の時の【ランス】【ルナ】の[Sランク冒険者]2人と一緒に攻略したんだ」
「まあその際に…俺にダメージが一番入るように、みんなが手加減してくれたって事なんだ」
「王族には何事も一番を目指すという、誇りがあるからな…みんなも察してくれたんだろう」

まあ、彼は彼で苦労しているようではある。
レニータは少しだけ哀れんで聞いていたが、思い出したように話しかけた。

「でも私、今の冒険者ランクはBだから、Sランクダンジョンには入れないんだ」
「どこかのAランクダンジョンを攻略しないとだけど、目立つのはあまりねえ…」

「はあ?あれだけの事をしておいて、今更目立たないはないだろ」
「レニータの事を知らないやつは、ココと俺の国ではいないぞ」

【ジーク】は呆れたように言った。
「確かに…」
レニータは、もしかしたらあれは夢だったのでは?と…
儚い期待をしていたが、やはり現実だったんだと実感した。

「俺の国のSランクダンジョンなら、俺の特権で入場できるけど行ってみる?」
【ジーク】はその中の事故で俺も殺されないだろうか…そんな不安を感じていたが勇気を出して言ってみた。

「ん~それなら行ってみたいところがあるんだけど…【ジーク】も付き合ってくれる?」
「う…うん、いいよ」

【ジーク】は思った。
心の底で、『なんだこの違和感は…』と…

鬼のレニータが時折見せる優しい物腰に、騙されそうな自分がいて、頭が混乱すると同時に…
何か裏があるのでは?と、逆に恐怖も感じていたため、そう返事するしかなかったのだった。

「じゃあ、次の土曜日の放課後ね」
レニータは授業が昼までの、早く終わるその日に待ち合わせをした。

そして土曜日、現れた【ジーク】の顔は、何故か凄く気まずそうだった。
「あら、どこに行くのかしらね…楽しみだわ」
どこかで聞いた事のある声がする。

現れたのは招待試合で【ウォーレン】陛下の護衛をしていた…
[Sランク冒険者]の【ルナ】と【ランス】だった。

婚約したと言うのに、近況を全く連絡しない【ジーク】の様子を見に来たのだが…
明らかに今日の様子が怪しかったため、同行したのだった。

「レニータちゃん、久しぶり…私たちも同行するから今日は宜しくね」
【ルナ】が遠足気分で楽しそうに答えた。

「ええ?…なんで?…この事は出来るだけ秘密にしたかったのに…」
レニータは思いっきり嫌そうな顔をしたが、全く気にしない2人の同行を許したのだった。

「《クイックムーブ》!」
4人が飛んだ先は、レニータが恐怖を刷り込まれたあの[大賢者の祠]の入口だった。

万一の時は【レオンハート】も呼び出して戦えば…
スケルトン・ジェネラル【カーネリー】に勝てるはずと思ったのである。

「意外だったけど、[Sランク冒険者]が2人増えたし、これは余裕かも…」
レニータは扉を開けると、奥に進んで行った。

相変わらず、奥には沢山のハイスケルトン族が待ち構えている。
その奥に、例の【カーネリー】もいた。

「さあ、始めるわよ」
レニータの合図を皮切りに、他の3人も攻撃する。

さすがにあの時とは異なり、レベル30前後のハイスケルトン族など相手にもならなかった
ほんの一瞬で【カーネリー】以外の敵は全滅させた。

「久しぶりね…いつかのお返しに来たわよ…あの時と一緒と思わないでよね」
レニータはそう言うと、《鑑定》した。

あの頃とは違い、《鑑定》レベルも、自身のステータスも上がっている。
とうとう【カーネリー】の全てがさらけ出された。

★☆ メインステータス ☆★
≪刻ノ暗黒魔剣士R・闇精霊の使者R≫
スケルトン・ジェネラル【カーネリー】
LV=63
HP=925+(装備分+250)
MP=620+(装備分+150)
SP=800+(装備分+50)

●サブステータス
筋力 (物理攻撃力) =490+(装備分+150)
丈夫さ(物理防御力) =550+(装備分+50)

知力 (魔法攻撃力) =450+(装備分+150)
精神力(魔法防御力) =520+(装備分+250)

持久力(HPに影響) =650+(装備分+150)
魔力( MPに影響) =400+(装備分+50)

素早さ(速さ回避力) =700+(装備分+350)
器用さ(クリティカル)=580+(装備分+50)
集中力(スキルに影響)=600+(装備分+150)
運(ステータス上昇率)=420+(装備分+50)

●所持スキル
極・剣術LV=10
闇精霊魔術LV=7

状態異常耐性LV=15
精神異常耐性LV=17

●特技
闇属性魔法=《基礎~上級全て詠唱可能》
  《カオスバインド》(混沌の糸、全ての状態異常と精神異常付与)

剣)《一刀両断》(攻撃力+50%)
  《切り返し》(カウンター)
  《真燕返し》(2段斬り)
  《乱れ斬り》(瞬時5撃)

●特殊固有スキル
  《闇精霊の加護》(闇魔法攻撃力+50%、闇属性無効、魔法ダメージ半減、最上級魔法詠唱可)
  《雷光》瞬時に踏み込む
  《朧月影》(おぼろつきかげ)
  《朧三日月》(おぼろみかづき)
  《刹那ノ幻》(せつなのげん)

〘カーネリーソード:S〙
【筋力+100】
【集中力+100】
【素早さ+100】
※攻撃力+50%・猛毒付与
※杖術・剣術の熟練度UP速度増加

〘カーネリーメイルセット:S〙
【持久力+100】
【精神力+100】
【素早さ+100】
【HP+200】
【MP+100】
※セットボーナス:全てのステータス+50
※5秒ごとに最大MP・最大SPの1%を自動回復

〘カーネリーリング:S〙
【精神力+100】
【素早さ+100】
【知力+50】
※魔法攻撃力+50%・麻痺付与

「え…」
レニータは全ての動作が止まった。

見た事もない高ランクの装備品に加え、スキル《朧三日月》以外にも特殊固有スキルがある。
《闇精霊の加護》って…

レニータは混乱して動けなかったが、他の3人は軽い気持ちで飛び掛かった。
所詮、レベル30前後の魔物しかいない祠の、雨後の衆(うごのしゅう)のボスだという、油断であった。

真っ先に飛び出した【ランス】が《ハイテイルウインド》で、全員の身体能力を大幅に向上させる。
「それだけじゃないぜ…集え、燃え盛る炎よ、この武器にその力を分け与えたまえ…《エンチャントファイアー》」

【ランス】は火属性を槍に付与して攻撃する。
そこに【ルナ】が《アースクエイク》を唱えた。

細かい所は違うが、あの招待試合での戦い方を参考にしているようだ。
バランスを崩した【カーネリー】に、【ランス】が技の出が早い、《一閃》(攻撃力+50%)をヒットさせた。

防御力の高い【カーネリー】にダメージを与えたのは事実である。
しかし、攻撃を当てた代償を【ランス】受け取る事になる。

「《朧月影》!」
【ランス】は血を噴き出し、その場に倒れ込んだ。

「この技はあの時の…」
【ルナ】に招待試合での記憶が甦る。

「これはマズすぎる、《エクストラヒーリング》!」
【ルナ】は【ランス】の命を救えたと思ったが…

「《朧三日月》!」
後方にいる【ルナ】の更に奥に、三日月を描くように回り込み、神速の十字斬りを2発繰り出す。

「バサ…」
8筋の衝撃波が【ルナ】の全身を切り刻んだ。

「よくも私の部下を殺したな」
【ジーク】が怒りに震え、飛び込もうとした時、後ろから声が聞こえる。

「《エクストラヒーリング》、《エクストラヒーリング》!」
レニータの《デュアル詠唱》が、【ランス】と【ルナ】の傷を癒し命を救った。
しかも全回復である。

これには【ジーク】が驚いた。
「3属性の他に、光属性まで使えるとは」

呆気にとられる【ジーク】に、レニータは平然とした様子で付け足した。
「あれ、ウチの国王に聞いてなかったの…?私は4属性使えるんだけど?」

普通、火と水、光と闇の相対する属性は、どちらかしか使えないと言われている。
火と水属性を併せ持つとは、人と魔物の理(ことわり)さえも超えている。

「てかそれどころじゃないでしょ!とにかく、油断しないで一度体制を整えるわよ」
「【ルナ】、《鑑定》して結果をみんなに伝えて…私はその間に攻撃準備を終わらるから」

レニータは《エンチャントファイアー》を自分と【ランス】に、【ジーク】は《ハイテイルウインド》を全員にかけ直した。
そして【ルナ】は《鑑定》した瞬間に、その事を後悔した。

「[極・剣術]に、[闇精霊魔術]ですって…Sランクダンジョンでも見た事も聞いた事もないわ」
「みんな、こいつはヤバすぎる…一度下がって…」

「やはり、【カーネリー】の強さはレベル以上に別格だわ…なぜかしら…」
レニータは、その強さの秘密を、どうにかして探りたかった。

「【レオン】出て来て!」
レニータは、〘レオンハートの首飾り〙を握りしめると、神獣【レオンハート】を呼び出した。

「早速だけど【レオン】、回復は任せるわよ」
「了解した、可能であれば風魔法で補助しよう」

「頼んだわよ、最後方から援護してね」
レニータは左右前方に【ジーク】と【ランス】、後ろに【ルナ】、最後方に【レオン】のY字隊列をとった。

「魔法ダメージが半減になる以上、違う属性の攻撃は殆ど効果ないはず」
「【ランス】と私の火属性なら相乗効果があるはず、アンデッド系は火に弱いからね」

「【ルナ】は土と光魔法で防御と回復に専念して」
「【ジーク】は、相手の隙が出来た時だけ、剣で攻撃して」

OK、ハイ、任せて…全員がレニータに託すように返答した。
「【ランス】、行くわよー、準備はいい?」
レニータは《デュアル詠唱》で、《ファイアーストーム》を放とうと魔力を集中する。

「ああ、すでに詠唱は終わっている、いつでもOKだ」
【ランス】はタイミングを見計らった。

「いっけーーー《ファイアーストーム》」
3重の相乗効果を伴った、火柱が【カーネリー】を包んだ。

「グオオオーーーーー…」
素早さが700と高い【カーネリー】は3発とも避けたはずだったが…
レニータは、ほんの僅かにタイミングをずらし、【カーネリー】行動を先読みしたのだった。
これも今までの戦闘経験が生んだ知恵である。

今のレニータの知力は装備品も足すと900オーバー。
1発でも当たれば、魔法ダメージ半減とはいえ、深刻なダメージを受ける。

「本当に恐ろしいな…あれから2年足らずで、ここまで成長するとは」
「先が楽しみと言いたいところだが、ソロソロ私も本気になるとしよう」

「ハアアアーーー消え失せろ、アビリティハイディング」
【カーネリー】の能力隠蔽魔法、《アビリティハイディング》の効果は打ち消された。

「はっ…そうだった…あのステータスを見た時の違和感」
「レベル63で、あれだけの装備を持っているにも関わらず、ステータスが低すぎると感じたんだ」

《アビリティハイディング》は装備品を除いた、基礎ステータスを半減させる効果がある。
「も…もう一度、《鑑定》!」

★☆ メインステータス ☆★
≪刻ノ暗黒魔剣士:R・闇精霊の使者:R≫
スケルトン・ジェネラル【カーネリー】
LV=63→68
HP=925→1850+(装備分+250)
MP=620→1440+(装備分+150)
SP=800→1600+(装備分+50)

●サブステータス
筋力 (物理攻撃力) =490→980 +(装備分+150)
丈夫さ(物理防御力) =550→1100+(装備分+50)

知力 (魔法攻撃力) =450→900 +(装備分+150)
精神力(魔法防御力) =520→1040+(装備分+250)

持久力(HPに影響) =650→1300+(装備分+150)
魔力( MPに影響) =400→800 +(装備分+50)

素早さ(速さ回避力) =700→1400+(装備分+350)
器用さ(クリティカル)=580→1160+(装備分+50)
集中力(スキルに影響)=600→1200+(装備分+150)
運(ステータス上昇率)=420→840 +(装備分+50)

《アビリティハイディング》で半減していた数値が元に戻った。

「なんという凄まじい力…魔法剣士として最適なバランスのステータス…」
「あの特出した、素早さ、器用さ、集中力が、固有スキルの強力な剣技を可能にしてるのね」

「おまけに減ったHPやMPを闇魔法で回復できるどころか、SPまで回復可能な装備品…」
「これって、冗談抜きにチートすぎでしょ」

レニータは、あの素早さでは、私たちの攻撃は当たらないのではと、攻めあぐねていた。
ただ、【カーネリー】も同じような事を考えていた。

「先程のレニータの《エクストラヒーリング》は、おそらく闇の効果を打ち消すだろう」
「更に全回復出来るとなれば、勝負は互角…」
「ヒーラーが3人いるのも厄介だ」

「相手のSP切れまで泥仕合とするか…」
「一瞬で全員の息の根を止めるかの、どちらかだな…」
「鍵はやはり、レニータか」

「参る、《雷光》…からの《朧月影》」
雷のごとく、瞬時に踏み込む《雷光》、レニータ以外は【カーネリー】を見失った。

「キーーーン…」
完全に技を会得しているレニータは、杖で受け止めたが、吹き飛ばされてしまった。

壁にぶつかると思った瞬間…
「《クイックムーブ》」
レニータは、【カーネリー】の真後ろに移動すると、《ファイアーストーム》を放った。

「グオオオーーーーー…」
雄たけびを上げた【カーネリー】だが、HPは3分の1程度しか減っていない。

魔法ダメージ半減に、精神力(魔法防御力)は1040+(装備分+250)…
《デュアル詠唱》で2発が直撃でも、4割近く残る計算になる。

ただ、ダンジョンの一部のボス部屋とは異なり、《クイックムーブ》が使えたのは嬉しい誤算だった。
最悪、外に脱出も可能だ。

「どっちにしても勝ち目はないわね…【ルナ】ちょっと耳を貸して」
「ゴニョゴニョ………」

「混沌の闇夜が創りし漆黒の衣、織りなすその糸で奪え…自由を、生気を、魂を…」
「二人固まったのは失敗だったな!、《カオスバインド》」

全ての状態異常、精神異常を付与する、混沌の糸。
ギリギリで【レオン】まで範囲に入ってしまった。

レニータたちのHPは見る見るうちに減っていく。
「しまった…《エリアハイヒール》、《エクストラヒーリング》」

【ルナ】と【レオン】に広範囲回復魔法をかけ、自分を全回復させた。
【ルナ】と【レオン】も自分たちで回復しているが、状態異常、精神異常までは回復が間に合わない。

「お願い間に合って…《エクストラヒーリング》、《エクストラヒーリング》」
ギリギリのところで全回復する事が出来たが、上級魔法の連発はまずかった。
ディレイタイムにより、次の魔法が詠唱出来ない。

「奥義《朧三日月》!」
「バサッっという音と共に、大量の血が噴き出す」

ただ、倒れたのは【ジーク】と【レオン】だった。
最後に必ずレニータに攻撃が来ると予測し…
《カオスバインド》の後、体を張ってかばおうと走り出していたのである。

ディレイが終わらないレニータ…
「輝ける希望の光よ、その者たちを優しく照らし、道を開きたまえ…《クイックムーブ》!」
【ルナ】が全滅の危機と判断して、詠唱して外に脱出した。

外で【ジーク】と【レオン】を全回復し、どうにか助かったがレニータは悔しくてたまらなかった。
「あああ、これじゃあ今晩寝れそうにないわね…」
「あ、【ルナ】さっきの作戦、今からやるわ、準備して」

一方、祠の中では…
「まあ逃げるのも良かろう…賢明な判断であるな」

【カーネリー】がクルリと反転し、元の立ち位置に戻ろうとした時…
レニータと【ルナ】が再びやって来た。

「最後のイタチっぺよ、《プロミネンスフォール》!」
今のレニータには無理なはずだが、招待試合の怒りで半分程度の威力で放つことが出来るようになっていた。

「グオオオーーーーー…」
「ふん、いい気味よ」
そう言い残して、【ルナ】が準備していた《クイックムーブ》で、そそくさと戻って行った。
単なるストレス発散であった。

それから一か月ほど、【ルナ】たちが滞在する間、毎日のようにストレス発散しに行った。
ここまで来ると、単なる嫌がらせである。

「クッソー、なんと下劣なやからめ…覚えておれ」
【カーネリー】は、大金をはたいて《クイックムーブ》が出来なくなる魔道具を購入した。

「ハハハ…これで次に来た時が奴らの最後だ、息の根を止めてやる…ガハハハ…」

【カーネリー】は全財産をつぎ込みんだので、財布がオケラになってしまったが…
レニータたちが来るのを、今か今かと楽しみに待った。

しかし、それ以降レニータたちが来る事はなかった…それはそうである。
《クイックムーブ》が出来なくなったのだから、外から飛んで来る事が出来ない。

その時点で、何か対策をしたんだと気付くのは当たり前である。
【カーネリー】は、変なところで少しぬけていた。

 

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★ 刻ノ桜 ~トキのサクラ~ ★(12話)

王族はもちろん、位の高い貴族たちも数多く参加する祝賀会。
招待する〔ドルンコア帝国〕からも、かなりの数の王族と貴族がやってくる。

真剣な表情を見せる【アッシュ】たちの緊張感は、かなり増しているようである。
表情はこわばり、冷や汗を流している者もいた。

招待試合が行われる祝賀会の会場は、大きな貴賓室が備わっている長方形の闘技場だ。
毎年の行事であるため、このためだけに建てられた、広くて豪華な建造物である。

一面がガラス張りの貴賓室は、高価な家具や絵画などで装飾され、国の財力を象徴するかのように光り輝いている。
長方形の闘技場には、四方全てに透明な防御障壁の魔道具が設置され、安全に見れるような設計だ。

華やかなドレスに正装で迎える男性たち…
美味しいお酒と料理に、みな満足気である。

そして殆どの者が食事を終え、お酒が少し入り気分が高まった頃を見計らって、試合が開始された。
1学年5対5で、5年生まで戦い勝敗を競う。
当然、3勝した方が勝ちだが、余興の意味も含め、全試合行われる事になっている。

「【ロバート】国王殿、今年はちっとはまともな勝負が出来そうかね?」
〔ドルンコア帝国〕国王、【ウォーレン・ドルンコア】陛下は髭を指先で整えながら、自慢気に言った。

「はあ…?何をおっしゃる、そちらこそ余裕が無さそうじゃな」
【ロバート】国王は目に火花を散らしながら、対抗意識を燃やした。

実はこの2人、仲は悪くないのだが、とにかくライバル心が強いのだ。
富の〔ゼニウス王国〕、力の〔ドルンコア帝国〕、良い関係ではあったがこの試合に限って言うと…

「こちらは60連勝中であるからにして、勝てない【ロバート】殿の国が気になるのだよ」
「いつか隣国に攻め入られるのではないかとね…」

「くううーーー…」
【ロバート】は歯ぎしりをあげて悔しがったが、何も言い返せなかった。

それはそうである。
60連敗中でしかも、61回前の戦いは引き分けなのだ。

勝ったのは英雄と言われた、前・前近衛兵団長が学生時代だった93年前の3年間であった。
言い換えるとそれ以来、0勝1引き分け92敗なのだ。

「そろそろこの行事も潮時かのう?」
「新しい余興を考えねばならんようだな、ワッハハハハ…」
【ウォーレン】陛下は高笑いしている。

「くうう…」
【ロバート】は顔を真っ赤にして粗ぶり、何度も地団太を踏んだ。

そして試合が始まったが、今年は何故か1年生が最後の試合として組まれていた。
〔ドルンコア帝国〕国王、【ウォーレン】陛下たっての希望である。

〔ドルンコア帝国〕は強大な軍事国家である。
そのため多数の国と軍事同盟を結び、その契約国が危険にさらされると、自国の兵を向かわせ守っている。

その、同盟の契約料で国を賄っているのである。
それだけに戦闘に特化しており、学生とはいえ殆どがCランク冒険者以上の実力で、強さは数段上だった。

最近の〔ゼニウス王国〕は、卒業試験の主席でCランク冒険者程度…
殆どがDランク以下で、まともな戦いになるわけがなかった。

2~5年生の試合全て、まるで子供扱いの様に弄ばれ、試合は終わった。
気分良く、美味しそうにワインを飲む【ウォーレン】に対し、【ロバート】は服の裾を噛んで悔しがっている。
そして最後に1年生の試合が始まる。

しかし開始の笛が鳴り、闘技場に整列する瞬間になり…
その全ての試合を見ていた【クレア】侯爵次女((LV=17)は、戦闘意欲を無くしてしまった。

「す…すみません、急にお腹が痛くなって…」
【クレア】は緊張のあまり、胃が痛くなってしまったようだ。

「こうなっては仕方がない…かと言って作戦を変えるわけにはいかぬ」
「同じ土属性である【キャサリン】よ、パーティーに入れ」

【アッシュ】第3王子は、当たり前のように、【キャサリン】に命じた。
「ハ…ハイ」
【キャサリン】は慌てて闘技場に降りていき、パーティーに合流した。

「いいか、まず【エリアス】が身体能力向上呪文をかける」
「そうしたら俺と【リオ】が武器で攻撃すると思わせながら突っ込む」
「その間に【エリザベス】が水魔法で攻撃する」

「剣と槍の間合いに入ったら、【キャサリン】は土魔法《ストーンウォール》で、わざと相手の視界を塞ぐんだ」
「その瞬間に俺が火魔法《ファイアーキャノン》と…」
「【リオ】【エリアス】が風属性《ウインドカッター》で攻撃する」

「どうだ…?良い作戦だろ…?」
確かに悪い作戦ではなかった…相手と同じくらいの実力であれば…

そして開始の笛が鳴ったのだが、全員は驚き戸惑った…相手は1人しかいないのである。
が、笛が鳴った以上攻撃を開始しないと、こっちがやられるかも知れない。

すかさず【エリアス】は《テイルウインド》を唱える。
直後に【アッシュ】と【リオ】が武器で攻撃するかのように突っ込んだ。

そして直前、【キャサリン】は《ストーンウォール》を唱えるが…
相手5人の対戦者である〔ドルンコア帝国〕第2王子【ジーク・ドルンコア】は《ウインドカッター》を唱えた。

「え…?」
相手の視界を遮るために唱えた《ストーンウォール》の防御壁は…
あっと言う間に砕け、飛び込んだ【アッシュ】と【リオ】に直撃した。

致命傷ではないもの、全身の筋肉や腱を切られながら弾け飛ぶと、2人は倒れ込んだ。
ピクピクと…体の一部の組織が反応するだけで、かなりの重症である。

そこに【ジーク】が追撃の魔法を唱えた。
「静かなる水の流れよ、氷の刃となりて降り注げ…《アイスブリザード》」

中段の位置にいた【エリアス】、【エリザベス】は氷の刃に刻まれ血を噴き出し、そして凍り付いた。
完全に凍るとまではいかなが、氷漬けになり、かなり危険である。

それもそのはず…
【ジーク】は、軍事国家で高水準の学生が多いにも関わらず…
卒業と同時に帝国近衛兵団長は間違いないだろうと言われる…
Sランクに近い冒険者の実力を持っていたのである。

「マズイ…この4名は戦闘不能とみなし…直ちに回復する」
瞬時にそれを見抜き、救命回復師として待機していた、【イアン】校長に加え…
一部始終を見学していた、〔セレンシアの街〕冒険者ギルドマスター【サミュエル】が回復魔法を唱えた。

どうにか一命を取り戻した4名だが、残った【キャサリン】に対し、【ジーク】は追い打ちの魔法を唱える。
「水の命よ…氷と成りて敵を貫け…《アイスランス》」

「どうしたらいいの…」
「集え鋼の粒子よ、盾となりて我を守りたまえ…《アイアンウォール》」
取り乱した【キャサリン】は、無我夢中で防御魔法を唱えた。

しかし、Sランク冒険者並みの【ジーク】の威力は、遥かに【キャサリン】の力を超えていた。
防御障壁は砕かれ、全身をかすめるように傷ついている。

「ホラホラ、ホラホラー…」
【ジーク】は、相手をジックリといびるように、《アイスランス》で傷つけている。
どうやら、最後の一人になり、余興としてそれを楽しんでいるようだ。

土属性の中級魔法しか使えない【キャサリン】。
どうにか攻撃できるとしたら、基礎魔法の《アース》(土の玉)を自力で投げつける事しか出来なかった。

「なんだこれは…?これでも魔法なのか」
「全く、こんなザコでも相手をしないといけないとは…全く無駄な行事だな」

「こんな無駄な行事は今年で終わらせてやる」
「死人が出たとなれば、翌年からこんなくだらない行事をやる気にもならんだろう」

「湧き出す水の冷気よ、静かにその全ての物を凍らすがいい…《アイスワールド》!」
【ジーク】は、上級水魔法で完全に【キャサリン】を凍結すると、《ウインドカッター》を唱えた。

「バサバサ…凍結した【キャサリン】の体は、風の刃に切り刻まれ、バラバラに砕かれていく」
これは致命傷と言うより、すでに死に絶えてるかと思えるほどの攻撃である。

【イアン】校長と【サミュエル】が、慌てて回復魔法を唱えるも…
その回復効果より、【ジーク】の威力の方が勝っていた。

「【ジーク】王子、これ以上は流石にダメです」
相手国のSランク冒険者で、【ジーク】王子のお目付け役。
そして自国生徒の回復担当である【ルナ・チェニー】が、飛び出して回復魔法を唱えた。

「降り注ぐ天使の光…全ての傷を癒しその者に祝福を…《エクストラヒーリング》!」
【キャサリン】の体を光が包み込むと、どうにか生命の鼓動を再開した。

どうにか間に合ったが、Aランク最高峰の【ジーク】王子の威力は凄まじかった。
【キャサリン】は、そのまま担架で運ばれるようである。

レニータは、急いで駆け寄り、【キャサリン】の手を取った。
「【キャサリン】…」
その一言を発すると目をつぶり、今までの思い出を振り返った。

いつも優しく、臆することなく接してくれた【キャサリン】。
「レニーター…」
【キャサリン】の、いつもの優しい声には全く力がなく、ただ静かに心に響き渡る。

そこに対戦相手だった【ジーク】王子が、話しかけて来た。
「なんだお前は…用がないなら出て行けよ、全くクソの同類もクソのような顔だな…」

「お前たちと違ってな、俺は軍事大国〔ドルンコア帝国〕の中でも…」
「過去最速でAランクダンジョンを攻略した、エリート中のエリートなんだ、殺されたくなかったら消えな」
【ジーク】がレニーターを見て、威圧感を漏らしたその時…

意識を取り戻した【キャサリン】が、レニーターの手を弱々しく握り返した。
「せっかくレニータと一緒に頑張ったのに…悔しいよ…」
【キャサリン】の目からは涙が溢れていた。

「役に立てなくて…ゴメンね…」
そう言うと【キャサリン】は再び、意識を失い静かに目を閉じた。

その頃、貴賓室でも…
「なんともまあ…話にもならんですな、5対1でこれですか…ワッハッハー…」
相変わらず、【ウォーレン】陛下の高笑いが聞こえる。

「おや、なんですか…?あの少女は…?」
「まさか我が息子であり、我が国の宝と言われている、Aランクダンジョンの攻略者【ジーク】と戦うのかね?」
「無駄な事はやめて、さっさとしまいにしようではないか…ワッハッハー…」

「はっ、そうだ…我が国にはまだあの子が居た」
「レニータよ、手加減せんでもいいから、倒してしまえー」
余程悔しかったのか…【ロバート】国王は、【ウォーレン】陛下と睨みあいながら叫んだ。

しかし、今のレニータには聞こえなかった
「よくも…よくも私の人生で、初めての友達にこんな事を…よくも…よくも…」
レニータは、初めて怒りで我を忘れてしまった。

湧き出すレニーターの魔力。
それを察した相手国の【ジーク】王子のお目付け役【ルナ】が、レニーターを《鑑定》した。

「はっ?」
一言だけ発すると、【ルナ】は言葉を失った。

「なんだ、今度はお前が相手か…また間違えて殺しちゃってもいいのかな?」
【ジーク】王子は、うすら笑いしながら楽しそうに答えた。

「俺のステータスを見たら、すぐさまに逃げ出すだろうな…」
「面倒だけど、すぐに始末してやる…《ステータスオープン》」
【ジーク】王子は、自分のステータスを誇らしげに晒した。

★☆ メインステータス ☆★
≪魔法剣士A・ダンジョンマスターA≫
【ジーク・ドルンコア】(12歳)[職業=ドルンコア帝国、第2王子・学生]
LV=60
EXP=91,810,000
HP=920
MP=830
SP=870

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =500
丈夫さ(物理防御力) =500

知力(魔法攻撃力)  =580
精神力(魔法防御力) =630
持久力(HPに影響) =570
魔力(MPに影響)  =520

素早さ(速さ回避力) =480
器用さ(クリティカル)=470
集中力(スキルに影響)=530
運(ステータス上昇率)=350

●所持スキル
水属性魔法LV=18
風属性魔法LV=16

杖術LV=14
剣術LV=15

精神異常耐性LV=13
状態異常耐性LV=15

●特技
水・風属性魔法=《基礎~上級全て詠唱可能》

剣)《一刀両断》(攻撃力+50%)
  《切り返し》(カウンター)
  《二陣斬り》(2段斬り)
  《乱れ斬り》(瞬時5撃)

●特殊固有スキル
なし

●装備アイテム
〘王族の冠:A〙
【知力+80】
【持久力+80】

〘王族の鎧:A〙
【丈夫さ+80】
【持久力+80】

〘王族の籠手:A〙
【筋力+80】
【集中力+80】

〘王族の靴:A〙
【素早さ+80】
【器用さ+80】

〘王族の指輪:A〙
【知力+80】
【精神力+80】

それを見た【サミュエル】が呟いた。
「強力な魔力を何度も唱えられるような魔力量に、同じくスキルポイントの多さ…」
「平均的に全てが高く、長時間の戦闘にも耐えられる」

「東の大陸で一番の軍事大国〔ドルンコア帝国〕で、期待の星と呼ばれるだけはある」
「が、しかし…あのお嬢ちゃんは…」

【サミュエル】がそう言いかけた時、レニータは怒りに我を忘れて斬りかかっていった。
「剣技《朧月影》!」

昔と違い完全に技を会得して、自身の特殊固有スキルとした今の技のキレは凄まじかった。
「バサッ…」
神速の十字斬りが、【ジーク】を4つの物体に切り裂いた。

「き…貴様、卑怯な…」
それを間近で観戦していた〔ドルンコア帝国〕の代表生徒たちが、不意打ちと勘違いして雪崩れ込む。
2~5年生の20人だ。

それぞれが飛び込んだ瞬間に魔法で攻撃するが…
「《クリスタルシールド》、《ファイアーキャノン》!」
《デュアル詠唱》で相手の魔法を防ぐと、《ファイアーキャノン》1発で、前の方に居た半数の生徒を火だるまにした。

「いかん…これはヤバイ…」
陛下の護衛で来ていた〔ドルンコア帝国〕の[Sランク冒険者]で…
首都〔キルバリースの街〕冒険者ギルドマスター【アドルフ・ファーラー】が【ジーク】を回復する。

「降り注ぐ天使の光…全ての傷を癒しその者に祝福を…《エクストラヒーリング》」
どうにか間に合ったようだ。

「【ルナ】、何をボケっと立っている、早くそちらも回復を…」
【アドルフ】は【ジーク】を回復しながら、倒れている十数人の生徒を指さした。

「あっ…集まれ、輝ける光の魂よ…力尽きたその者たちの傷を、優しく癒したまえ…《エリアハイヒール》!」
我に返った【ルナ】が、広範囲回復魔法を唱えた。
辛うじて全員が生きているようである。

「おいおい、余興の招待試合とは言え、ここまでやられたらシャレにならないな」

【ルナ】のパーティーメンバーで、同じく[Sランク冒険者]の槍使い【ランス・ルーミス】がレニータに飛び掛かった。
「《乱れ突き》!」

【ランス】は、瞬時に3度の突きを放ったが、技は知らなくともレニータの槍術はレベル18。
交わすのは容易(たやす)い。

レニータは【レオンハート】を召喚し「《テイルウインド》を唱えさせた!」
我を忘れたレニータの本能は、過去の魔物との戦闘を思い出しながら、的確に適応しているようだ。
レニータの能力が更に上がった。

「《アースクエイク》、《ファイアーストーム》!」
【ランス】はバランスを崩しながらも、揺らぐ地面から飛び出す尖った鋼を、どうにか交わしていた。

と言うより、当たっていたが、どうにか致命傷は防いでいたと言う方が良いだろう。
そこに《ファイアーストーム》が地面から湧き上がる。

「うわあああ…」
【ランス】は燃え盛る炎の中で、灰となっていく感覚を覚えた。

そこに回復を終えた【ルナ】と【ジーク】が割り込んで来た。
【ルナ】はすかさず、【ランス】を回復する。

「だからやり過ぎだって言ってるんだよ」
「嵐となりて吹きすさぶ暴風よ…その力を我に貸したまえ…《ハイテイルウインド》」

【アドルフ】は風の上級魔法、大幅な身体能力向上呪文を唱えて、突進してきた。
レニータは【アドルフ】のスピードに対抗するべく、《ファイアーバレット》で応戦する。

ここまで成長したレニータの後ろには、巨大な40を超える魔法陣が構成され、火の弾を放っている。
突進はしたが、この数の弾は捌ききれず、【アドルフ】は交わすので精一杯だった。

そこにレニータは《デュアル詠唱》で《アイスワールド》を唱えた。
辺り一面を氷結化する、水属性の上級魔法である。

「なんなんだ…火に土…そして水までも…」
「このガキ、3属性全ての上級魔法が使えるなど…ありえない」

【アドルフ】は、この魔法の威力にあの鬼の様な形相…
レニータが女の子である事を見失った。

交わすだけで精一杯だった【アドルフ】に、広範囲氷結魔法《アイスワールド》が襲う。
【アドルフ】は避ける事が出来ず、凍り始めた。

「くっ…動きが止められた…クソ…」
【アドルフ】はどうにか抵抗しようとしたが、レニータの魔法の威力にどうする事も出来なかった。

そこに我を忘れ、本能のままに動くレニータは、ある言葉を口にした。
「我、全てを燃やし尽くす者なり…火の精霊よ、怒りを炎の糧として、立ちはだかる者を塵と変えよ…」

「なんだこの詠唱は…聞いた事も見た事もない…」
その場にいた全員が、膨大な魔力の集束に恐怖した。

「《プロミネンスフォール》!」

レッド・ウィスプ【ホムザ】の得意呪文である。
が、やはり今のレニータには無理なようだ。

強力な魔法陣から沢山の火柱が【アドルフ】を包み込んだが、ほんの一瞬で消えてしまった。
ただ【アドルフ】のダメージは深刻だった。

ゆっくりと【アドルフ】は黒焦げになって崩れ落ちる。
あのほんのわずかな一瞬で、この威力である。

《プロミネンスフォール》の詠唱後、レニータは真っすぐ前方に倒れ込んだ。
上位魔法の連続詠唱に加え、最後の《プロミネンスフォール》で、魔力が完全に枯渇したようだ。

【ルナ】はすぐさま、《エクストラヒーリング》を唱え、【アドルフ】の命を取りとめた。
[Sランク冒険者]の魔法効果だからこと出来た、まさに奇跡である。

結果、招待試合は5対0で〔ドルンコア帝国〕の勝利となったが…
この日を境に、とある噂が広まった。

〔ゼニウス王国〕には、鬼の形相をした冷酷な魔女がいる。
〔ドルンコア帝国〕のSランク冒険者が、3人がかりでボコボコにされた…など…

そしてここに居た全ての者たちが、『絶対にレニータを怒られてはならない』と、そう心に誓ったのだ。
レニータの思惑とは裏腹に、その名は軍事大国の〔ドルンコア帝国〕にまで広まっていった。

 

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