トキドキ☆ブログ

トキドキブログは、YouTuber トキドキTV(トキドキテレビ)の公式ブログです。

★冤罪で殺されたら異世界に飛ばされました!★

私は恵まれている…はずだった…
優しい両親に、頼りになる2歳上の兄、可愛い3歳下の弟…
宮殿の様な大きな家で、何不自由のない贅沢な暮らし…

その家の一角にある、まるで図書館のような広い部屋には、沢山の本が並んでいる。
そこで動物や昆虫の図鑑を見るのが、毎日の楽しみだった5歳の女の子。
この物語は、幸せになる予定だった?この少女から始まる。

高い窓から、爽やかな朝陽が溢れる部屋…
その光を浴びてキラキラと光る、フォークやスプーン…
白基調のお皿やカップには、鮮やかなブルーの模様に、細かな金細工が入っている。

そのお皿の上には、焼きたてのフワフワなパンに、朝採り野菜の新鮮なサラダ…
厚めのベーコンの上に、ふっくらと盛り上がった目玉焼き…
朝から素材を厳選した、とても豪華な料理が食卓に並んでいる。

ゆっくりとスープを飲み終え、母は優しく微笑みながら言った。
「舞は将来、何になりたいのかな?」
「舞は自由に生きて良いのよ、好きな事をして幸せに暮らしなさい」

「うん、私はね…私は大きくなったら沢山の動物たちと、ずっと…ずう~っと、一緒に暮らすの」
満面の笑みで答える舞。

足元には愛犬の【ココ】が寝転んでいた。
穏やかで優しい性格の【ココ】
なぜか舞に一番なついて、いつも傍を離れなかった。

そんなある日、【ココ】が倒れた。
息が荒く熱もある。
「【ココ】!大丈夫? どこが痛いの?」
舞はどうして良いか分からず、オドオドするばかり…
「クーーーン…クーン…」
か弱い声で鳴く【ココ】を母親が抱き上げると、急いで病院に連れていった。

「クン…」
舞はその声を決して忘れる事は出来ないだろう。
聞こえるかどうかの僅かな鳴き声を最後に、【ココ】は息を引き取った。

「私は何も出来なかった…【ココ】ごめんね!」
舞は部屋に籠り、夜遅くまで泣きじゃくった。

次の日、図書室にはまぶたを大きく腫らした舞の姿があった。
「私はもっともっと本を読んで、勉強する!」
「こんな思いは二度としたくない!」
「この思いを絶対に忘れない…次は絶対に助けてみせる」
この日、舞は心に大きな誓いをたて、生物学に目覚めたのだった。

小学生になると、益々集中し、勉強そっちのけで本を読みまくった。
歳の近い弟は、暇を持て余し、毎日のように
「お姉ちゃん、遊んで~」
と、せがんでくる。

舞が11歳になったある日、今度は可愛い弟が目の前で倒れた。
大きな病院に救急車で運ばれたが、具合は悪くなる一方…
有名な病院に移り、徹底的に検査されるも、現代の医学では原因不明だった。

「あの時と同じ思いをしてたまるか!」
舞は医学や人体解剖学はもちろん、細菌や毒に関しても徹底的に調べた。
ネットでも膨大な量の論文や解析報告書を読みまくった。

しかし2年後…懸命の延命治療もむなしく、弟は帰らぬ人となってしまう。
「絶対にこんな思いはしないと誓ったのに…」
13歳になった舞は、今までにも増して医学にのめり込んでいった。

それから約6年が過ぎ、舞は日本の名門、東大の医学部にいた。
しかし、すでに教授レベルの知識を有する舞にとって、学校の授業は退屈以外の何物でもなかった。
そのせいもあり授業に参加するより、新しい課題を見つけ、一人で研究に没頭する日々が続いた。

そんな日々を過ごすあまり、大学では単位が足りなくなり留年となってしまい…
しかも出席日数も大幅に不足し、4年目を迎える前の春休み…
舞はとうとう退学処分となってしまった。

誰の目にも彼女の、優秀な医者としての未来が目に浮かんでいたであろうが…
明るく笑顔が絶えない可愛い女の子が、気づけば根暗な引き籠りのニートになっていた。

起きてはパソコンに向かい、ずれたメガネから覗く目はトロンと死んでいる。
髪はボサボサで、肌はガサガサ…
21歳の、今が人生で一番楽しいであろう時期の女の子とはかけ離れている。

「舞~…今日はする事があるんでしょ…?さっさと起きて準備しなさい」
ノックの返事をする前に、乱暴にドアを開けた母が、カーテンをサッとあけると…
面倒くさそうに言い放った。

今日は大学の、退学通知書にサインをして、その手続きを終わらせる日だった。
毎日、昼夜逆転生活を送る舞は、ボーっとしながらも着替え、大学に向かう。

朝の通勤ラッシュは過ぎたとは言え、混雑している駅のホームを進む舞…
フラつき加減で朧気に歩いていると…
「ドン!」
階段に向かって急いで走り抜ける男に弾かれ コケそうになった舞は、とっさに両手を突き出す。

「ドン!」
「え?…」

「キキキキキーーー」
激しいブレーキ音をたて、通過予定の電車が止まった。
「な…何が起こったの…」
舞は放心状態で呆然としていると…

「キャアー、人殺しーーー」
その様子を見ていた、隣の女がそう叫んだ!

「この人、今わざと突き落として、人を殺したわ」
「誰か、早く警察を呼んで!!」
その女は舞を指差していた。

「え?私は何も…」
そう言いかけた時、他の男も叫んだ。

「俺も見たぞ、逃げないように早く取り押さえろ!」
舞は数人に取り囲まれ、手を掴まれた。

「誤解です、私は何もしていません」
「私は本当に何もしてないんです。ただ後ろから押されただけなんです」
連れて行かれた警察署や、その後の裁判でも何度もそう訴えた。

しかし運が悪い時は重なるものである。
死んだのは大学の同級生。
先日、退学通知を受けて呼び出された日に、一方的に言いがかりをつけられ揉めてしまった。

その相手の友達のウソの証言で、舞の殺意が認められたのである。
しかも駅の2人の目撃証言が証拠となり、舞は有罪となる可能性が高くなっていた。

「どうしたらいいの? 私、何も悪い事してないのに…」
激しい失意の中で全く寝れず、最後の裁判に向かう途中…
無気力な舞の目の前に、どこか見覚えのある男が立っていた。

「よ…よくも私の娘を…」
その男は、怒りあらわに震えながら、ナイフを舞の胸に突き刺した。

「うっ…」
動きが止まり見開いた舞の目から、ツーと涙が頬を伝った。

「私は、2度とあんな思いをしたくない…ただそれだけ…」
「沢山研究して、沢山の人を救いたかっただけなのに…なぜ…」
意識が遠のく中、今までの記憶が走馬灯のように流れ走り去った。
そして静かに視界が、細く暗くなっていった…


「あれ?ここはどこ?」
「あっ!私はたしか死んだはず?」

寝起きのように、少しずつ広がる視界から、見慣れない天井が映し出される。
舞はとっさに、刺されたはずの胸を押えた。

「き…傷がない…」
「おかしい…私は確かに死んだはず?」
「もしかして、ここはあの世?」
舞はベッドからおりて部屋を見まわした。

「だけど、やけにリアルね…感覚もあるし」
部屋に飾られた花からは、香水の様なとても良い匂いが漂っている。
見ているもの、触るものなど…全てがリアルに感じられた。

そしてようやく、違和感に気付いた。
「あれ?手が小さくなってる!」
下を向くと、元々立派ではなかったが、胸の膨らみも全くない。

慌てて部屋の角に置いてある、姿見鏡を覗き込んだ!
「えっ…?」
舞は自分の姿を見て言葉を失った。

9歳~10歳くらいだろうか?
黒髪で貧相な、見た事もない女の子がそこに立っている。

「誰これ…? それになぜ子供?…まさかタイムスリップした?」
「けど…こんな場所も、こんな怖そうな目をした女の子も知らないし…」

「ちょっと待って、その前に私、胸を刺されて死んだんだよね?」
「あ~…もう何が何だかわかんない!!」
色々な記憶と状況が錯誤して、舞は頭を掻きながら左右に振った。

その時、おもむろに部屋のドアが開き、女性の声がした。
「お嬢様、今日は珍しく起きていらしたのですね」
「おはようございます」

黒と白のメイド姿をした、20歳前後の女性が入って来ると、スッと頭を下げた。
そして表情を変えることなく、目線だけをこちらに向けると…

「下でお食事の準備が出来ています」
「奥様たちは、もうお集まりですよ」
そう言うと、そそくさと下に降りて行った。

舞は状況が分からず、戸惑いながらも下にあるであろう、食事室に向かった。
「お嬢様、どちらに行かれるのです?」
先程のメイドが、オドオドした舞を不審に思いながら言う。

「そちらは化粧室でしょう?」
「まさか食事室の場所を忘れたのではないでしょうね」
相変わらず表情一つ変えず、冷ややかな目で見ながら言葉を発している。

「とりあえず、逆かな?」
舞は反対に歩くと、広い大広間に長いテーブルが置かれている部屋に出た。

テーブルの端には立派な服を着た、まだ30歳くらいの若い女性が佇んでいる。
鮮やかなスカイブルーの髪に、それを引き立たせるかのようなサファイアブルーのドレス
黄色のレースと白のリボンが、より静寂な気品を際立たせ、存在感を漂わせている。

「レニータ、ボーっとしてないで、反対に座りなさい」
立ちすくんでいる私に向かって、その女性が言った。

「何をしてるのレニータ、そこにいては邪魔でしょう」
「早く座りなさい」
その女性は、私を見ながら先ほどよりも大きな声で命令した。

「レ…レニータって私の事?」
疑心暗鬼な表情で戸惑っていると、その女性はボソっと…
「母親に向かってなんでしょうね、その態度は…」
深いため息をつきながら、呆れた顔でソッポを向いた。

「この子っときたら全く…」
何かを言いたげである。

そこに、真っ赤な髪をした立派な紳士と、エメラルドグリーンの髪の青年が息を切らしながら入って来た。
「お帰りなさい、あなた。【アーロン】も一緒なのね」
母親らしき人は、その二人に言った。

「ああ、【ソフィア】、今戻ったよ」
「今日は一緒に剣の稽古をしてたんだ、【アーロン】はもうすぐ卒業だからね」

その時こちらを見て、あからさまに不機嫌そうな顔をした父親らしき紳士が言った。
「ん?なぜレニータがこんな時間から起きているんだ…」
「【ソフィア】、何かあったのか?」

この私の母親と思わしき女性は【ソフィア】と言うらしい。
5歳離れた兄が【アーロン】
後で知ったのだが、この赤髪の父親は【レナード】と言うらしい。

「さあ、何しに起きてきたのやら…」
あたかも起きてくること自体、迷惑だと言わんばかりに【ソフィア】はトゲトゲしく言った。

食事の準備が終わり、皆が席に着いた時にレニータは気付いた。
父親を囲んで、【ソフィア】と【アーロン】が隣に座っている。
私はと言うと、数メートルも離れた反対側にポツンと一人で座らされている。

そして食事の様子を見守る、執事やコック、メイドさんたちも私の周りには誰一人寄り付かない。
そして、全員が私に冷たい視線を送ってくる。

その私を見る目には、見覚えがあった。
それは私が前世で、有罪が決まりそうな時に注がれた周りからの視線。
冷たく憎悪の塊で、私を軽蔑している「あの目」だ!

「ああ…そっか…私はこの世界でも酷く嫌われているんだ…」
その事に気付くと、再び激しい失意に襲われ、また殻に閉じこもるようになってしまった。


とにかく、ここの世界の状況が分からない事には一人では生きていけない。
そう思ったレニータは、家の書庫に入り浸った。

色々な本を読んで知ったのだが、この世界は、産まれた時の髪の色は必ず白であると記されている。
私は産まれた時から髪の色が黒…これが不吉がられ、嫌われている理由だった。

そして12歳になると、洗礼を受けるのが決まりらしい。
洗礼を受けると必ず、ステータスと言うものが表示されるようになる。

また少数の人は髪の色が変化し、その色が魔法の資質を表している。
とは言え、色が変わらない者が殆どで、当然ながら何も資質がない者は洗礼後も白髪のままである。

赤=火属性
青=水属性
緑=風属性
茶=土属性

殆どの人は、この4つの内のどれかに当てはまる。
ただこの4属性とは別に、極々少数の人はレア属性の2つの色になる事がある。

黄=光属性
紺=闇属性

基本的に、適性属性は一人につき一つであるが…
数百、数千万人に一人の割合で、複数の属性を持つものが現れるらしい。

母親【ソフィア】は、水属性
兄【アーロン】は、風属性(槍の使い手でもある)
父親【レナード】は、火属性(剣の使い手でもある)

貴族は遺伝により、基本的に何かしらの色に変化すると言われている。
そして髪の色が変化し、魔法の素質があると認められた者は、「魔法学校」に通わなければならない。

また白色のものでも、武術適性があると認められると「武術学校」に通える。
武術適性に関しては、本来の戦闘に特化したステータスに加え、本人の努力による向上が不可欠となるらしい。

★☆ メインステータス ☆★
≪会得している称号≫
【名前】(年齢)[職業]
LV(強さ)
EXP(経験値)
HP(ヒットポイント)
MP(マジックポイント)
SP(スキルポイント

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)・丈夫さ(物理防御力)
知力(魔法攻撃力)・精神力(魔法防御力)

持久力(HPに影響) ・魔力(MPに影響)
素早さ(速さ、回避力)・器用さ(クリティカル率、生産スキル)

集中力(スキル、スキルポイント+全てのステに微影響)
運(ドロップ率、成功率、ステータス上昇率に影響)

●所持スキル
例)火属性魔法LV=1
  剣術LV=1など…

●特技
例)剣技《疾風斬り》など…

また[クラーク家]は〔ゼニウス王国〕の、田舎の『子爵』である。
国の一番東にあり、国境までの交易路の確保を任されるという重要な役割と…
温暖な気候を生かし、穀物処として国の食料確保にも貢献している

そして、両学校を卒業した者は、王国近衛兵団か、冒険者ギルドに所属する事が義務付けられている。
その事に関しては追々話していこう。

「ところで私…一体何歳なんだろ?」
「家族に聞くのが一番早いけど…変に思われちゃうな…」

「ステータスが見れたら、分かるんだけどなあ~…」
「ま…まさかね…一応…」
「それを見るために必要な詠唱は…《ステータスオープン》と…」

★☆ メインステータス ☆★
≪会得している称号=なし≫
【レニータ・クラーク】(10歳)[職業=なし]
LV=1
EXP=0
HP=20
MP=345
SP=380

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =10
丈夫さ(物理防御力) =10

知力(魔法攻撃力)  =235
精神力(魔法防御力) =190

持久力(HPに影響) =10
魔力(MPに影響)  =265

素早さ(速さ回避力) =10
器用さ(クリティカル)=180
集中力(スキルに影響)=295
運(ステータス上昇率)=320

●所持スキル
火属性魔法LV=1
水属性魔法LV=1
風属性魔法LV=1
土属性魔法LV=1

光属性魔法LV=1
闇属性魔法LV=1

鑑定LV=1
精神耐性LV=5

●特技
なし

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》

「み…見れてるし…なんとなく嫌な予感はしたけど…」
「しかし、数値に凄く差があるような…」

「てか私、やっぱり10歳だったのか…それなのに何でステータス見れちゃうんだろ?」
「しかも、精神耐性LV=5って…前世でもココでも、かなり辛い人生を送ってるのね…」
「不幸な私…」

レニータは胸に手を当て、自分を慰めるように労わった
「ホワーン」
手が金色に光ると、その光は体全体を包み込み、優しく癒してくれた。

その瞬間、ステータスウインドウが開くと、どこからともなく…
「《マインドヒーリング》を覚えました」
「《ライトヒーリング》を覚えました」
という、何かの案内のような声が流れた。

「あ、光属性のレベルが上がってる…」
レニータは慌ててウインドウに目を凝らすと、光属性魔法がLV=2になっていた。
しかも特技欄に新しく、《マインドヒーリング》と《ライトヒーリング》が増えている

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》

「って…何これ…どう考えても今のはコレのせいよね?」
「まさかとは思うけど…想像したら魔法って発動しちゃうのかしら?」
今度は慌てて、魔法の事が書かれた書物を読み漁った。

『魔法とは、精神を集中して魔力をコントロールし…
それを具現化して放出する事で、効果を発揮するものである。』

『コントロールした魔力を放出するには、正確に呪文を詠唱する必要がある』
『ハイクラスな魔法程、集中力を要し呪文も長くなるため、使用出来るものは限られてくる』

『魔法のクラスは低級・中級・上級・最上級の4段階に分かれている』
『今までに最上級魔法を唱えられたのは、伝説の大賢者のみとされ、詳しい事は解明されていない』

属性別の魔法の種類は次のとおりである。

火)《ファイアー》(炎の玉)基礎
  《ウォーム》(加熱)基礎

  《ファイアーバレット》(炎の弾)初級
  《ファイアーキャノン》(炎の砲弾)中級
  《エンチャントファイアー》(火属性付与)中級
  《ファイアーストーム》(高熱炎の竜巻)上級


水)《ウォーター》(水の玉)基礎
  《アイス》(冷却)基礎

  《アイスランス》(氷の槍)初級
  《レイン》(雨降らす)中級
  《エンチャントフリーズ》(水属性付与)中級
  《アイスブリザード》(氷刃の吹雪)中級
  《アイスワールド》(一面を氷結)上級


風)《ウインド》(風の渦)基礎
  《アビリティサーチ》(能力解析)基礎

  《ウインドカッター》(風の刃)初級
  《テイルウインド》(身体能力向上)中級
  《ウインドレーダー》(広範囲探知)上級
  《ハイテイルウインド》(大幅な身体能力向上)上級


土)《アース》(土の玉)基礎
  《アークミリィー》(錬金)基礎

  《ストーンウォール》(石の壁)初級
  《アイアンウォール》(鉄の壁)中級
  《クリスタルシールド》(透明な魔法障壁)上級
  《アースクエイク》(地震で地面を割る)上級


光)《ライト》(光の玉)基礎
  《ヒール》(癒しの光)基礎

  《ライトヒーリング》(ロークラス治癒)初級
  《マインドヒーリング》(精神異常回復)初級
  《ポイズンヒール》(解毒)初級
  《ハイヒーリング》(ハイクラス治癒)中級
  《エンチャントライト》(光属性付与)中級
  《ワープ》(空間移動)上級
  《エクストラヒーリング》(全部位治癒)上級
  (精神異常回復・状態異常回復が出来る人もいる)
  《エリアハイヒール》(範囲ハイクラス治癒)上級


闇)《ダークネス》(暗闇)基礎
  《ドレイン》(HP吸収)基礎

  《アシッドレイン》(毒の雨)初級
  《スリープミスト》(眠りの靄)初級  
  《ソウルハーデンス》(硬直)中級
  《アビリティハイディング》(能力隠蔽)中級
  《エンチャントダークネス》(闇属性付与)中級
  《ドレインタッチ》(物理攻撃ヒット時HP吸収)上級
  《シャドウステルス》(気配を消す)上級
  《マナドレイン》(MP吸収)上級

どの本を読んでも同じような事が書かれている。

「あれ、想像したらどんな魔法でも作れるって訳じゃないのね…」
「無詠唱魔法…これが今《マインドヒーリング》と《ライトヒーリング》を覚えられた理由か…」

「私は子供の頃から10年以上、色んな勉強をし続けた!」
「集中力には自信がある!」

「それに、物質の構成に必要な成分、変化させるために必要な条件…」
「必要な知識は頭の中に入ってるから、具現化なんて私に言わせれば、お子様のおママゴトね!」

見た目が思いっきりお子様の、レニータが言うセリフではないが…
徐々に強気な性格に変わっていっているようだった!

また、《マインドヒーリング》の精神的作用なのか…
根暗ニートが、前世の幼い頃の陽気なお気楽少女に戻りつつある。


書物によると、この世界に巣食う魔物は、ダンジョンと呼ばれる所から生まれるらしい。
ダンジョンは突然生まれ、気づかぬうちに魔物が外に溢れてくる。
逆に言えば、魔物が外にいる場所には、新しくできたダンジョンがあると言う事である。

そう、国同士の戦争以外に、外に出て来た魔物を討伐し、ダンジョンを攻略するため…
王国近衛兵団と、冒険者ギルドが必要となってくるのである。

そしてダンジョンをクリアしたものには、≪ダンジョンマスター≫の称号がつく。
超高ランク冒険者の、ほんの一握りのものだけに与えられる栄誉である。
ちなみにダンジョンは、突然現れる代わりに攻略から1年後に消滅する。

「ん~特に今する事無いし…とりあえず≪ダンジョンマスター≫を目指してみっかな~」
とりあえずで目指せるものではないが…
時間が経つにつれ、レニータのお気楽さが増していっているようだった。

次の日、レニータは近くの森の中にいた。
「いくらなんでも、今の状態でいきなりダンジョンに行くほど、おバカじゃないわよ!」
なんか一人虚しく呟いている。

「とりあえず全部の魔法を試して、どれが使い勝手が良いか試してみるかな」
まずは炎の成分と燃焼条件を具現化して、ピストルの弾のようにコントロールして…
一点集中して発射!!
「ヒュン、ドカーーーーーン!」
大きな音と共に、目の前にあった大きな岩の塊が吹き飛んでいた。

「うーん…ちょっと時間がかかりすぎるわね…」
「接近された時にこれでは間に合わない…」

「そうだ!魔法名だけを唱えて、それを具現化する際のイメージに変換して唱えてみよう」
「行くわよー!《ファイアーバレット》」
発声と同時に放たれた炎の弾は、先ほどよりも遥かに早く、威力も強く発射された。

それと同時にあのアナウンスも流れる。
「特殊固有スキル《詠唱省略》を覚えました」

「《詠唱省略》か…うん、これなら余程接近されない限り大丈夫ね!」
レニータは日が暮れるまで、全ての属性の初級魔法を試していった。

中級、上級魔法もイメージして試してみたが、今はまだ使えなかった。
属性レベルや、魔法系のステータスが上がらないと無理らしい。

色々と試して帰宅したレニータ…家に帰り着くと、凄まじい脱力感が襲ってきた。
「多分、MPが枯渇寸前の影響ね…」
MPが枯渇するとそういう風になると、魔法書の最後の方に書かれていたのを思い出した。

「いや...もしかしたら自分に《アシッドレイン》(毒の雨)を降らせて、《ポイズンヒール》(解毒)使ったからかも…?」
「おかげで《ハイヒーリング》も覚えられたら、結果オーライだけど」
レニータは深いため息をついてお風呂に入ると、ベッドに横になってステータスを開いてみた。

★☆ メインステータス ☆★ [※()内は前回からの増量値]
≪アークメイジ≫
【レニータ・クラーク】(10歳)[職業=なし]
LV=1
EXP=0
HP=20
MP=347(+2)
SP=381(+1)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =10
丈夫さ(物理防御力) =10

知力(魔法攻撃力)  =237(+2)
精神力(魔法防御力) =192(+2)

持久力(HPに影響) =10
魔力(MPに影響)  =267(+2)

素早さ(速さ回避力) =10
器用さ(クリティカル)=180
集中力(スキルに影響)=297(+2)
運(ステータス上昇率)=320

●所持スキル
火属性魔法LV=3(+2)
水属性魔法LV=3(+2)
風属性魔法LV=3(+2)
土属性魔法LV=3(+2)

光属性魔法LV=3(+2)
闇属性魔法LV=3(+2)

鑑定LV=1
精神異常耐性LV=5
毒耐性LV=1(New)

●特技
火)《ファイアーバレット》(炎の玉)(New)
水)《アイスランス》(氷の槍)(New)
風)《ウインドカッター》(風の刃)(New)
土)《ストーンウォール》(石の壁)(New)

光)《マインドヒーリング》(精神異常回復)
  《ライトヒーリング》⇒《ハイヒーリング》(ハイクラス治癒)(New)
  《ポイズンヒール》(解毒)(New)
闇)《アシッドレイン》(毒の雨)(New)

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》

「うーん、魔物を倒してないから経験値は増えてない…」
「だからレベルは上がってないけど、ステータスは微妙に増えるのね…」

「努力次第では、ある程度の能力の上昇も見込めるって事かな?」
「なんか前世にあったゲームみたいな感じね」

いやいや、レニータさん勘違いしないで下さい…
普通は1日で1~2も上昇しないんですよ!

あと、3属性以上の魔法を使え、全てがレベル3を超えるとつく…
偉大な魔法使い≪アークメイジ≫の≪称号≫を手に入れているのを、お見逃しなく!

【2話に続く】⇦ココをクリック

 

★冤罪で殺されたら異世界に飛ばされました!★(4話)

15階層のボス部屋に入ったレニータ。
中央で待ち構えているボスに、早速《鑑定》を使ってみた。

★☆ メインステータス ☆★
獅子王
神獣【レオンハート】
LV=55
HP=630
MP=350
SP=260

●サブステータス
筋力 =380
丈夫さ=420
知力 =220
精神力=240
持久力=360
魔力 =270
素早さ=250
器用さ=280
集中力=320
運  =250

《鑑定》のレベルが6になっていたので、サブステータスも見えるようになっていた。

3つの尻尾があるライオンに、ペガサスのような羽が生えた【レオンハート】
筋力、丈夫さが特出している、タンクタイプのようだが、それにしてはMPが高い。

【レオンハート】を倒したのは、最高到達階層17階のパーティ1組だけとされている。
しかし、その者たちの戦闘記録が全く残って無いため、詳細は不明であった。

故にそれ以降、ボスに挑んだ者の記録はない。
それだけ、このダンジョンの魔物は強力なのだ。
しかし勿論だが、レニータがこの事実を知る由(よし)もなかった。

前途で述べたが【レオンハート】の尻尾は3本ある。
尾の先の色が、青、緑、黄となっており、それぞれ魔法属性を表していた。

お気づきだろうが、魔法属性によって性質が異なるため、それぞれの主な役割が決まっている。

赤(火)、青(水)の攻撃呪文
緑(風)の身体能力向上呪文。
茶(土)の防御呪文。

黄(光)の回復呪文
紺(闇)の状態異常付与呪文

これらはパーティを組む際にも重要視されており…
個々の力は上でも、バランスが悪いと総合力が下がる傾向にある。

その中で1番バランスが良いとされるのが…

1)武器攻撃力の高い前衛か、盾役のHPが高い前衛
2)赤(火)or 青(水)の攻撃魔法使い
3)緑(風)魔法の身体能力向上使い
4)黄(光)魔法の回復 or 茶(土)魔法の防御呪文使い

これら4人パーティーだと言われている。

つまり、筋力、丈夫さが特出している、盾役タイプの【レオンハート】は…
一番バランスの良い魔法タイプを揃えていると言える。

「舞い上がる風の渦…追い風となりて力を与えよ…」
【レオンハート】は身体能力向上呪文《テイルウインド》を唱えた。

★☆ メインステータス ☆★
獅子王
神獣【レオンハート】
LV=55
HP=780(+150)
MP=400(+50)
SP=290(+30)

●サブステータス
筋力 =430(+50)
丈夫さ=470(+50)
知力 =220
精神力=240
持久力=410(+50)
魔力 =270
素早さ=300(+50)
器用さ=300(+20)
集中力=320
運  =250

大幅に【レオンハート】の身体能力が上がった。
特に筋力はレニータの2倍以上ある。
それでいて素早さにも差がついてしまった。

弾速が一番速い《ファイアーバレット》で狙うも、寸前で交わされてしまう。
距離を詰められ、防戦一方のレニータ。
【レオンハート】の爪は速く鋭く…そして重い。

「少しずつ削られていく…」
受け流す事が出来ない重い攻撃は、徐々にレニータのHPを削っていった。

「このままでは、当たらない攻撃と回復でMPが切れる」
「こういう時のために、剣技・槍技を鍛えたんでしょ!」
レニータは杖を使った攻撃に切り替えた。

しかし、丈夫さが高い【レオンハート】に、筋力の低いレニータの攻撃はあまり効果がない。
水属性の魔法と爪の攻撃を受け、更にHPを削られていくのであった。

「これは相性以前の問題か…」
「スケルトン・ジェネラル【カーネリー】と同じくらい強い」

元から高い戦闘系ステータスを、更に強化した強靭な肉体…
それに似合わない素早さと、回復魔法…

水属性の攻撃呪文もあるため、長距離戦闘もこなせる。
戦闘が続けば続くほど、手詰まり状態となり、敗色が濃厚となっていくのであった。

「このままじゃジリ貧だわ…どうにか突破口を探さないと…」
「と言うより、どう見てもあの尻尾がカギでしょ」

レニータは回り込み、尻尾を切りつけるが殆どダメージが入らず…
僅かに削っても【レオンハート】は《ハイヒーリング》で回復していく。
正にいたちごっこである。

「それならば、もっとダメージが通る攻撃を…」
「もっとスパっと、切り裂くイメージで攻撃を鋭く速く…」

「あ、もしかして…あの技は見切ったし…剣術レベルも9だし…」
「やれてもおかしくない!」

「いっけーーー!剣技、《朧月影》」
背後に回り込んだレニータは、3本の尾に向かって技を繰り出した。

「バサッ!」
横払いの剣先が黄色と緑の尾を捉え、切り落とした。

と同時に、全身からブチブチと鈍い音がして、血が噴き出た。
この技はスケルトン・ジェネラル【カーネリー】の固有剣技であり…
レニータのステータスでは、まだこの技を使いこなす事が出来なかったのである。

半分の威力もない未熟な技ではあったが、当たったのは【レオンハート】の油断だった。
圧倒的に有利な展開と、こんな大技を持っているわけが無いという思い込みが、僅かな隙を生んだのであろう。

しかしレニータの体は耐える事が出来ない。
「体がバラバラになっていく…回復魔法を…」
全ての筋と筋肉を繋ぎ合わせて、噴き出した血の成分をイメージ。

「《エクストラヒーリング》」
以前とは違い、失った血も完全に回復する事により、MPとSPの消費を減らす効果を得た。

それとは逆に、尻尾を失い回復できなくなった【レオンハート】
緑の尾も失った事で、身体強化も解かれた。

「今がチャンス!」
「まずは動きを止める…交わされないように範囲魔法で…」
「小さな氷の刃を大量に、荒れ狂う猛吹雪の様に降らせるイメージで…」

「《アイスブリザード》」
数センチ程の鋭い氷の刃が、吹雪となって辺り一面を覆う。
【レオンハート】に当たると、僅かだがその部分が凍り付き、動きを遅らせた。

「良し、これなら当たるはず!《ファイアーストーム》」
「ゴォォォーーー!!」
灼熱の炎が【レオンハート】を焼き尽くす。

「ウウォーーーーーン…」
【レオンハート】は狼の様な雄たけびを上げ、その場に崩れ落ちた。

絶命したかに思えたが、僅かに息があるようだ。
「我を倒したのは2人目…人族…人間では初めてだ…見事だ…」
「その敬意を表してコレをやろう」

〘レオンハートの首飾り〙
ハート型の宝石が埋め込まれた、おしゃれな首飾りである。

「アイテムとして使う事で、どこでも自由に私を召喚する事が出来る」
「私は高速で飛べるし、《ハイヒーリング》が使えるから、戦闘中は回復役としても使える」

「まあ…お主ほどの効果は期待出来ないだろうが、1人での戦闘なら攻撃魔法に集中できる分、便利だ」
「では、用事がある時は呼んでくれ…また会おう…」

そう言うと【レオンハート】は、首飾りに吸い込まれるように消えていった。
レニータは〘レオンハートの首飾り〙を装備して《鑑定》してみた。

●アイテム名
〘レオンハートの首飾り:S〙
【HP+50、MP+50】
【力+30、丈夫さ+30、素早さ+50】

※5秒ごとに最大HPの1%を自動回復
※1度装備すると絶対に外せない

「はは~…なるほど…」
「あの異常な格闘向きのステータスは、コレのせいだったのね」
「あの強靭さで、あの素早い動き…頷けるはずね…」

「しかも中々HPが減らなかったのは、この自動回復のせいか」
「って…えええーーーーー!!1度装備すると外れないって…」

「今なら確かに可愛いけど…」
「こんなデカくてモロに成金趣味みたいなネックレス、永遠にしてろって言うの…?」
「ヤレヤレね…」

この言葉は首飾りを通して、【レオンハート】には聞こえていた。
「成金趣味で悪かったな!次に会ったら、絶対に返り討ちにしてやる!!」
【レオンハート】は、首飾りの中で目を燃やし、報復を誓っていた。


その後もレニータはダンジョンに籠り、来る日も来る日も魔物を狩り続ける。
16階層…
「《鑑定》!」

★☆ メインステータス ☆★
【ハイリザード・ガード】
LV=54
HP=580
MP=200
SP=180

●サブステータス
筋力 =260
丈夫さ=260
知力 =130
精神力=110
持久力=160
魔力 =100
素早さ=180
器用さ=210
集中力=120
運  =100

●所持スキル
大剣術LV=9
剣術LV=9
盾術LV=9

毒耐性 LV=5
暗闇耐性LV=5

「《鑑定》!」

★☆ メインステータス ☆★
【ハイリザード・スペルマスター】
LV=56
HP=380
MP=550
SP=410

●サブステータス
筋力 =130
丈夫さ=140
知力 =250
精神力=280
持久力=130
魔力 =290
素早さ=150
器用さ=170
集中力=200
運  =110

●所持スキル
火属性魔法LV=9
闇属性魔法LV=9

杖術LV=9

毒耐性 LV=5
暗闇耐性LV=5

「《鑑定》!」

★☆ メインステータス ☆★
【ハイリザード・シーフ】
LV=55
HP=450
MP=340
SP=270

●サブステータス
筋力 =140
丈夫さ=150
知力 =170
精神力=180
持久力=150
魔力 =190
素早さ=300
器用さ=260
集中力=180
運  =200

●所持スキル
風属性魔法LV=9

弓術LV=9
短剣術LV=9

毒耐性 LV=5
暗闇耐性LV=5

1体でも手を焼くのに、2~3体がパーティで出現するこの階層は苦戦続きだった。
それでも毎日、少しずつマッピングして行動範囲を広げ、17階層への道を探す。

そして、【レオンハート】の戦闘から2ヶ月ほど経ったある日…
やっとの事で17階層への階段を見つけた。

「やっと降りる道見つけた~長かったわね…」
「さてと、どれくらい上がったかしら…《ステータスオープン》と…」

★☆ メインステータス ☆★ [※数値は装備分を含む・()内は前回からの増量値]
≪賢者≫
【レニータ・クラーク】(11歳)[職業=なし]
LV=6
EXP=1,158,800
HP=530(+80)
MP=830(+40)
SP=580(+20)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =290(+50)
丈夫さ(物理防御力) =350(+60)

知力(魔法攻撃力)  =560(+30)
精神力(魔法防御力) =540(+30)

持久力(HPに影響) =320(+50)
魔力(MPに影響)  =610(+30)

素早さ(速さ回避力) =320(+50)
器用さ(クリティカル)=370(+30)
集中力(スキルに影響)=540(+40)
運(ステータス上昇率)=510(+20)

●所持スキル
火属性魔法LV=12(+2)
水属性魔法LV=9(+2)
風属性魔法LV=9(+3)
土属性魔法LV=10(+2)

光属性魔法LV=14(+3)
闇属性魔法LV=8(+2)

杖術LV=12(+3)
剣術LV=12(+3)
槍術LV=12(+3)

鑑定LV=7(+1)
精神異常耐性LV=10(+1)
状態異常耐性LV=8(+3)

●特技
火)《ファイアーバレット》(炎の弾)
  《ファイアーキャノン》(炎の砲弾)
  《ファイアーストーム》(炎の竜巻)
水)《アイスランス》(氷の槍)
  《アイスブリザード》(氷刃の吹雪)(New)
風)《ウインドカッター》(風の刃)
  《テイルウインド》(身体能力向上)(New)
土)《ストーンウォール》(石の壁)
  《アイアンウォール》(鉄の壁)(New)

光)《ライト》(光の玉)
  《エクストラヒーリング》(状態異常回復・精神異常回復・全身治癒)
  《ワープ》(空間移動)(New)
闇)《アシッドレイン》(毒の雨)
  《ソウルハーデンス》(硬直)(New)

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》
《解析》

「流石に16階は相当キツかった…17階が思いやられるわ…」
「どんな魔物がいる事やら」
レニータはそっと覗いて見た。

何やらヤバそうな魔物が多数、浮いているように見える。
「ん?あれは…?《鑑定》!」

★☆ メインステータス ☆★
【カークレッド・グリフォン
LV=57
HP=580
MP=450
SP=400

●サブステータス
筋力 =260
丈夫さ=270
知力 =290
精神力=280
持久力=250
魔力 =290
素早さ=370
器用さ=260
集中力=280
運  =250

●所持スキル
火属性魔法LV=10
闇属性魔法LV=10
状態異常耐性 LV=10

●特技
火)ファイアーバレット《炎の弾》
  ファイアーキャノン《炎の砲弾》

闇)アシッドレイン《毒の雨》
  ソウルハーデンス《硬直》
  マインドブレイク《精神崩壊》

「次…《鑑定》!」

★☆ メインステータス ☆★
【ギガ・コカトリス
LV=57
HP=600
MP=460
SP=380

●サブステータス
筋力 =280
丈夫さ=300
知力 =240
精神力=280
持久力=300
魔力 =220
素早さ=270
器用さ=250
集中力=260
運  =300

●所持スキル
風属性魔法LV=10
闇属性魔法LV=10
状態異常耐性 LV=10

●特技
風)ウインドカッター《風の刃》
  テイルウインド《身体能力向上》

闇)アシッドレイン《毒の雨》
  ソウルハーデンス《硬直》
  マインドブレイク《精神崩壊》

「《鑑定》がレベル7になったおかげで、特技も見れるようになったわね」
「てか、あのデカイ鳥…鶏のクセに浮いてるわ…生意気ね…しかも何なのよ、あのステータス…」

「レベル55を超えたあたりから、ネームドでなくても相当ヤバいかも…」
「1レベルの違いが格段の差になってるみたいだわ」

そう…レベルが55を過ぎると、それまで得た経験値の数倍を稼がないと、次のレベルには上がらない。
それだけレベル1つの違いが、実力差としてハッキリ出るのである。

「けどまあ~首飾りのおかげもあるけど、全てのステータスで私が上回っているし…」
「複数で来られても、どうにかなりそうだわ」

「まあ、精神と状態耐性の回復付きの《エクストラヒーリング》もあるしね…」
「精神異常耐性と状態異常耐性が低かったら、勝ち目はなかったんだろうなあ~」
「こいつらとは相性が良いみたい!」

その通り、ある程度の相性はどうしても出てくる。
レニータは格闘系のステータスが低い分、魔法系と状態・精神異常系にはかなり強い。
その相性のおかげで、16階層で苦戦した分、17階層では意外と楽に進めたのであった。

とは言え、レベルは57の魔物…
3体以上の時はかなり苦戦した。
時折、5体も同時に出現する事もあり、一進一退を繰り返す事もあった。

そして4か月を過ぎた頃、ようやく18階層に降りる階段に辿り着いた。
とその時、妙な看板がある事に気付いた。

「飽きた!」
と、一言だけ書いてある。

「なんだこれ?」
レニータは意味が分からず、首をかしげて考えていたが、ふと傍に置かれた箱に気付いた。

その箱の中には、手紙のようなものが入っている。
「進むか退くかは自由に決めよ、ただ退く者には福が訪れるであろう、この箱を手に退くと吉となる」

「なんだこれ…?全く意味が分かんないわ~」
「てか、これって意味があるの?」

「ただ福ってなんだろ?凄く気になるわね…」
「うーーーーーん…」

レニータはひたすら考えた。
「うーーーーーん…」

「幸せって言葉、凄くずるいわ…欲しくなっちゃうもの…」
「私は不幸はもう嫌…えーーーい、退散!」

少し戻ると、急に警報のようなアラームが鳴り響き、変なアナウンスが流れた。
「ダンジョントラップが発動しました、あなたは外に戻されます」
「また今から5年間、このダンジョンには入れません」

「えええーーー…そんな…せっかくここまで来たのに…」
レニータはダンジョントラップにより、外に戻されてしまった。

「ガーーーン…せっかく17階層まで進んでたのに…」
「どんだけ鬼畜なのよ…そうじゃなくても、全然レベル上がらなくなったのに…」
「これから他のダンジョンで1階から進んでも、ほぼ無駄じゃないよ…」

「はあ~これからどうしよう…」
深いため息をついた時、箱から何かがこぼれ落ちた。

「あれ?こんなの入ってなかったわよね…これが福かな…」
「よし、《鑑定》!」

●アイテム名
〘真実の指輪:S〙
【HP+10、MP+10】
【知力+20】

※どんな隠蔽も見破る
※1度装備すると絶対に外せない
※装備条件:LV60以上

「って、アイテムとしては大したことないけど…これも絶対に外れないじゃない」
「まあ、これに比べたら エゲツなくなくて良いけどね」

「誰がエゲツないんじゃーーー!」
レニータが手にした首飾りの中で【レオンハート】は激怒した。

「てか、装備条件レベル60以上って…私にとっては無理としか思えないんだけど?」
「これって完全に不幸を貰った気分…あ~ムカつく」

一旦アルベルク街のダンジョン攻略を打ち切ったレニータは、とりあえず家に戻って熟睡した。

 

 

★冤罪で殺されたら異世界に飛ばされました!★(3話)

「な…なんという威力…」
【スケルトン・ジェネラル】に、かなりのダメージを与える事が出来たが…
盾で致命傷を防ぎ、耐えられてしまった。

「なんと恐ろしい…こんな幼気(いたいけ)な少女が、この私を追い詰めるとは…」
「私はスケルトン・ジェネラルの【カーネリー】と申す。人に名乗ったのは初めてである」
「敬意を表して、私の奥義で仕留めるとしよう」

と、【カーネリー】が最後の技を繰り出そうとした時に、レニータの方からも声がする。
「上級魔法・《ファイアーストーム》と《エクストラヒーリング》を取得した事により…
あなたは≪賢者≫の≪称号≫を手に入れました」

「≪賢者≫って…」

「あなたは≪賢者≫であると自覚しました」
「それにより、あなたの≪称号≫は、他人にも≪賢者≫と認識されます」
「またステータスに、≪称号≫による補正がかかります」
あの時と同じ文面が流れた。

★☆ メインステータス ☆★[※()内は前回からの増量値]
≪賢者≫
【レニータ・クラーク】(10歳)[職業=なし]
LV=4(+1)
EXP=62700
HP=295(+190)
MP=680(+145)
SP=520(+87)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =140(+88)
丈夫さ(物理防御力) =170(+108)

知力(魔法攻撃力)  =480(+110)
精神力(魔法防御力) =450(+108)

持久力(HPに影響) =180(+80)
魔力(MPに影響)  =530(+113)

素早さ(速さ回避力) =150(+85)
器用さ(クリティカル)=300(+80)
集中力(スキルに影響)=440(+75)
運(ステータス上昇率)=450(+60)

●所持スキル
火属性魔法LV=8(+2)
水属性魔法LV=4
風属性魔法LV=4
土属性魔法LV=5

光属性魔法LV=9(+2)
闇属性魔法LV=4

杖術LV=5(+2)
剣術LV=5(+2)
槍術LV=5(+2)

鑑定LV=3
精神異常耐性LV=7(+1)
毒耐性LV=3

●特技
火)《ファイアーバレット》(炎の弾)
  《ファイアーキャノン》(炎の砲弾)
  《ファイアーストーム》(炎の竜巻)(New)
水)《アイスランス》(氷の槍)
風)《ウインドカッター》(風の刃)
土)《ストーンウォール》(石の壁)

光)《ライト》(光の玉)
  《マインドヒーリング》⇒《エクストラヒーリング》に統合
  《ハイヒーリング》⇒《エクストラヒーリング》に進化(精神異常回復・全部位治癒)(New)
  《ポイズンヒール》(解毒)
闇)《アシッドレイン》(毒の雨)

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》
《解析》

≪賢者≫のステータス補正は凄まじかった。
それもそのはず、この世界に賢者の≪称号≫を持つ者は、片手程度しかいないと言われている。
レニータも魔力を一点に集中し始めたが、しかし…

「奥技・《朧三日月(おぼろみかづき)》」
一瞬早かったのは【カーネリー】だった。
【カーネリー】は、防御姿勢のような状態のまま、盾を突き出し衝撃波を放つ。

後方に飛んで盾を交わしたと思ったが、その衝撃波をまともに食らってしまった。
その衝撃波には麻痺の効果が付与されている。
「体が動かない…」

三日月のようにスッと回り込んだ【カーネリー】が《朧月影》を斜め後方2箇所から放つ。
傾いた十字が2つ重なり、八方の刃が体を切り刻む。
しかも今回は、離れた所からの衝撃波による斬撃である。

「う…」
あまりの速さに、今のレニータでは反応する事すら出来なかった。

全身を切り刻まれ、血を噴き出しながら倒れるレニータ。
それを見てゆっくりと歩み寄って来る【カーネリー】の姿を最後に、レニータは意識を失っていった。

「私に《朧三日月》まで使わせるとは…幼き娘ながらあっぱれである」
意識を失い、今にも息絶えそうなレニータに、トドメを刺そうと【カーネリー】は剣を心臓の上に当てる。

その時、広間の一番奥から、何者かの声が響き渡った。
「まて【カーネリー】、殺すには惜しい…助かるかは運次第だが、これを使って入り口まで帰してやれ」

その声の主は、【カーネリー】にポーションを投げ渡すと、スーっと消えていった。
「ま、助かるかは分からんが、アレは面白そうだしな」
意味深な言葉を残して…


数時間後、目が覚めたレニータは祠の入口の、巨大な扉の前に横たわっていた。
辛うじて生きているようである。

≪賢者≫となったレニータの総合的な生命力が、命を繋いだようである。
運のステータスが高いのも、働いたのかも知れない。

意識を取り戻し、ゆっくりと目を開くレニータ。
「い…生きてる?いたたた…」

傷口は塞がっているとは言え、深刻なダメージを負っている。
起き上がろうとする意識とは裏腹に、体はピクリともしない。

枯渇寸前のMPとSP…
レニータには上級魔法の《エクストラヒーリング》を唱える余力は残って無かった。

「こんな世界に来てしまうなんて…」
2度目の死の淵に立った恐怖が、再び甦った。

「とにかく、休まないと…」
「温かいベッドで体を癒したい!」
そう念じて目を閉じると、フッと体が軽くなった。

「あれ…?ここは…」
再び目を開けると、そこはレニータの部屋のベッドの上だった。

そしていつもの声が聞こえる
「《ワープ》を覚えました」

「あ、魔法は術レベル、杖レベル、知力の総合力で唱える事が出来るようになるんだっけ?」
大幅にレベルアップした事により、イメージする事で新しい魔法を覚えられたのだった。

「とりあえず、少し休んでMPを回復させないと…」
枯渇寸前の魔力を回復させるべく、レニータは深い眠りについた。

翌朝、《エクストラヒーリング》で体力を全回復したレニータ…
「おかげで魔力はまた減っちゃったけど、とりあえず体は元通りね」

「それにしても、酷い世界に来てしまったもんだわ」
「死なないためには、もっともっと強くならないと!」

そうは思ったが、再度あの祠に行く勇気はなかった。
「次行ったら、間違いなく殺されちゃう」
「他に、何か強くなる良い方法はないかしら…」

考える事1時間…
「そうだ!!」
レニータは、ある方法を閃いた。

「《ワープ》が使えるようになったんだから、毎晩少しずつ歩いてイメージ出来る場所を増やせば良いじゃない」
「で…ダンジョンの入り口から中が見えたら、そこにワープすれば、護衛に止められる事もないしね」

「我ながら天才かも!」
レニータは毎晩少しずつ歩いて、遠くの街に《ワープ》出来るようになっていった。

ここはレニータが住む、〔クラーク領〕〔カムク町〕から西に500km程行った所にある…
王国の貿易の拠点、〔リベラ領〕〔アルベルク街〕…〔カムク町〕と比べてもかなりの大都会である。
近くには長い間、攻略されていないダンジョンがあり、更なる活気を生んでいた。

「ハアハア…やっとここまで来れた…」
「これからはここを拠点に、あの有名なダンジョンに挑戦よ!」

「せっかくだから、ちょっと覗いてみるかな?」
レニータは護衛が立っている場所から、少し先のダンジョンの中を記憶すると…
その場所をイメージして《ワープ》で奥に進んで行った。

奥に進むほど、強力な魔物が出現するダンジョン…
殆どのダンジョンは地下10~15階層程度だが、ここのダンジョンの現在の最高到達階層は地下17階…
何階層まであるのかさえ、未だに不明である。

何故分かるのかと言うと、護衛が立っている入り口には魔法の掲示板があり…
そこにはダンジョンを攻略した者がいる場合は、《ダンジョンマスター》の名前と最深階層。
いない場合は、最高到達階層が魔法探知によって、自動で記されるようになっている。

レニータの場合、ここが初のダンジョンであり…
護衛の目を盗んでコッソリ侵入しているので、その掲示板を目にする事はなく…
その事実を知る由もなかった。

しかしダンジョンの中はと言うと、まあ…人の多い事…
3階層まで来たが、殆ど魔物と出会わない。

5階層ごとにボスが住むというが、数匹の魔物を倒しただけでアッサリと到達できた。
普通の魔物ならば、出逢わなければ、先に進む事が出来るが、ボスだけは違う。
必ず討伐しないと、先の階に進む事が出来ないのである。

マントを深く被って正体を隠しながら、順番待ちをしているレニータ。
一人でいるのを心配した前に並んでいる冒険者が、優しく話しかけて来た。
白髪の体格がガッシリした、30代くらいの大きな男である。

「まだかなり小さいが、君は何歳だい?」
「まさかとは思うが、一人で挑戦するんじゃないだろうな?」

「あ、いえ…仲間はちょっと外していて…」
レニータは思わず嘘をついてしまった。

「そりゃあそうか…しかしお嬢さんとはね…」
声で女だとバレたようだ。

「死んだら元も子もない、無理だけはするんじゃないぞ」
「見た所、冒険者になったばかりだろう?いいか、何度も言うが、決して無茶はするんじゃないぞ」

「5階層とは言え、このダンジョンの魔物は他より1.5倍くらい強いんだ」
「普通でも10階層からはBランク以上…」
「15階層からは、Aランク以上の冒険者じゃないと生き残れないと言われている」
「しかもバランスの良い、3人以上のパーティでの話だ」

「いいな!5階層とは言え、決して油断するなよ」
そう言うと、その男たちのパーティはボス部屋へと入っていった。

待つ事10分ちょい…
閉まっていた扉が開いた。
どうやら、前のパーティは無事に進んで行ったらしい。

中には全滅したような形跡はなく、進むと新しくボスがリポップした。
リポップとは、倒しても必ず生き返るようにダンジョンが作った…
言わば、先に進むための試練のようなものである。

中央に佇む巨大な炎のトカゲ…
どうやらココのボスは、この【サラマンダー】のようだ。

レニータを見つけると、【サラマンダー】はギロっと鋭い視線で睨んだ。
どうやら、威嚇の効果があるようだが、レニータの精神異常耐性はLV=7…
殆ど効果がなかった。

「炎と来たら水属性…まあ、当然よね…これでも食らえ~!《アイスランス》」
いくつもの鋭く尖った氷柱が【サラマンダー】を貫く。

「冷やしたらもう一度加熱する!コレ、基本よね!《ファイアーキャノン》」
【サラマンダー】は氷柱に貫かれカチコチに凍結したが…
《ファイアーキャノン》の急な温度変化に耐えられず、粉々になって燃え尽きてしまった。

「なんだ…耐えたら風属性の魔法で切り刻んでやろうと思ったけど、そんな暇もなかったわね」
「楽勝、楽勝」
ほんの数秒で攻略したレニータは、次の階層へ進んで行った。

「しかしまあ、ボスにしては弱すぎでしょ…ボーナスステージとかかな?」
レニータは、『賢者の祠』でハイペースでレベルが上がり、強くなりすぎている事に気付いてなかった。

6、7階層とドンドン先に進むが、全く歯ごたえがない。
1ヶ月もしないうちに、アッサリと10階層ボス部屋に到達してしまった。

流石にここまで来ると、並んでいる冒険者はいない。
「さっきの男が言ってたわね…10階層はB級冒険者で3人以上…大丈夫かな…」
[大賢者の祠]の件もあり、かなり慎重になっているレニータだが…

「まあ無理そうなら《ワープ》使って逃げれば良いっしょ」
大事なところで楽観的なのは相変わらずだった。

そしてレニータは知らなかった。
ここから先のボス部屋は、移動系魔法が制限されている事を…

「今度はどんなボスがいるかな~」
興味本位が強いレニータは、ドキドキしながら進んで行く。

中央には鎧をまとった馬に乗った【ダークナイト】が、ランスと盾を持って待ち構えていた。
「《鑑定》!」

★☆ メインステータス ☆★
ダークナイト
LV=46
HP=510

「所持スキル=《鑑定》がLV=4になりました」

★☆ メインステータス ☆★
ダーク・ナイト【バロリー】
LV=46
HP=510
MP=240

新しく、名前とMPが見れるようになった。
「やはりネームドのようね」
名前持ちの魔物は、ネームドモンスターと言われ、高いステータスを持ち恐れられていた。

「ステータスを見る限り、武術専門って訳ではなさそう」
「魔法も組み合わせてくるとなると、ちょっと厄介だわ」

レニータはある程度の距離を保ちつつ、魔力を集中し始めた。
「先手必勝!《ファイアーバレット》」

「《疾走》」
レニータが魔法を唱えると同時に、【バロリー】もスキルを唱えた。

マシンガンのような炎の弾を、残像を残しながら瞬時に移動して交わす【バロリー】
苦も無くレニータに接近すると、手にしていた長く尖ったランスで攻撃をしてくる。

瞬時に数回の突きを放つが、『賢者の祠』で《朧月影》を見切ったレニータ。
こっちも杖で難なく防ぎきった。

「ほう…こうもアッサリと交わすか…」
「次はどうかな」

【バロリー】は手にしているランスに魔力を込め始めた。
「地獄より来たりし暗黒の雷(いかづち)…全てを闇に包み、炭へと変えよ…」

「槍技、《黒雷閃(こくらいせん)》」
鋭く針の様な…黒い雷をまとった突きが、一瞬で体中を数十か所も貫いた。

「う…毒に暗闇…おまけに呪いまで…」
無数の突きには、毒・目潰し・呪いの効果が付与されている。
呪いには、ステータスを3分の2に下げる効果があるため、凄まじい脱力感も同時に襲ってくる。

「私のこの技を食らって生き延びた者はいない…残念だったな…」
【バロリー】は背を向け、広場中央の元の位置に戻ろうとした。

「《エクストラヒーリング》」
【バロリー】の背後で、神々しく眩(まばゆ)い光が煌いた。

「残念なのは貴方の方…私を誰だと思っているの…」
「私も残念な背格好だけど、これでも一応≪賢者≫なのよ…け・ん・じゃ!!」
「バカにしないでよね!」

「これでも食らえ~《ファイアーストーム》!」
超高温の炎が【バロリー】を激しく包んだ。

「グアアアアーーーーー…」
【バロリー】は一瞬で燃え尽きて灰となり、空中に散っていった。

「ふう…、ま、こんなもんか…」
レニータは大して疲れた様子もなく、いつもの楽天的な口調で言った。

「レニータのレベルが上がりました」
いつもの声が聞こえてくる。

★☆ メインステータス ☆★ [※()内は前回からの増量値]
≪賢者≫
【レニータ・クラーク】(11歳)[職業=なし]
LV=5(+1)
EXP=175,180
HP=350(+55)
MP=710(+30)
SP=540(+20)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =170(+30)
丈夫さ(物理防御力) =220(+50)

知力(魔法攻撃力)  =510(+30)
精神力(魔法防御力) =480(+30)

持久力(HPに影響) =230(+50)
魔力(MPに影響)  =570(+40)

素早さ(速さ回避力) =180(+30)
器用さ(クリティカル)=320(+20)
集中力(スキルに影響)=475(+35)
運(ステータス上昇率)=470(+20)

●所持スキル
火属性魔法LV=9(+1)
水属性魔法LV=6(+2)
風属性魔法LV=5(+1)
土属性魔法LV=6(+1)

光属性魔法LV=10(+1)
闇属性魔法LV=5(+1)

杖術LV=7(+2)
剣術LV=7(+2)
槍術LV=7(+2)

鑑定LV=4(+1)
精神異常耐性LV=8(+1)
毒耐性LV=5(+2)
暗闇耐性LV=2(New)
麻痺耐性LV=2(New)
呪い耐性LV=2(New)

●特技
火)《ファイアーバレット》(炎の弾)
  《ファイアーキャノン》(炎の砲弾)
  《ファイアーストーム》(炎の竜巻)
水)《アイスランス》(氷の槍)
風)《ウインドカッター》(風の刃)
土)《ストーンウォール》(石の壁)

光)《ライト》(光の玉)
  《エクストラヒーリング》(状態異常回復・精神異常回復・全身治癒)
  《ポイズンヒール》(解毒)
闇)《アシッドレイン》(毒の雨)

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》
《解析》

「あら、いつの間にか11歳か…」
「あと1年で12歳…洗礼を受ける歳ね」
「もっと強くなっておかないと…」

レニータは時間が許す限り、ダンジョンに籠った。
10階層を超えると、魔物1匹の個体の強さが一気に上がる。

名前はないとは言え、レベル50~55前後の魔物がゴロゴロしていた。
そして2か月後、15階層のボス部屋に到達したレニータは、更にレベルを上げていた。

「《ステータスオープン》と…」

★☆ メインステータス ☆★ [※()内は前回からの増量値]
【レニータ・クラーク】(11歳)≪賢者≫
LV=6(+1)
EXP=801,250
HP=400(+50)
MP=740(+30)
SP=560(+20)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =210(+40)
丈夫さ(物理防御力) =260(+40)

知力(魔法攻撃力)  =530(+20)
精神力(魔法防御力) =510(+30)

持久力(HPに影響) =270(+40)
魔力(MPに影響)  =590(+20)

素早さ(速さ回避力) =220(+40)
器用さ(クリティカル)=340(+20)
集中力(スキルに影響)=500(+25)
運(ステータス上昇率)=490(+20)

●所持スキル
火属性魔法LV=10(+1)
水属性魔法LV=7(+1)
風属性魔法LV=6(+1)
土属性魔法LV=7(+1)

光属性魔法LV=11(+1)
闇属性魔法LV=6(+1)

杖術LV=9(+2)
剣術LV=9(+2)
槍術LV=9(+2)

鑑定LV=6(+2)
精神異常耐性LV=9(+1)
毒耐性 LV=7 ⇒状態異常耐性LV=5に統合
暗闇耐性LV=5 ⇒状態異常耐性LV=5に統合
麻痺耐性LV=5 ⇒状態異常耐性LV=5に統合
呪い耐性LV=5 ⇒状態異常耐性LV=5に統合
石化耐性LV=5 ⇒状態異常耐性LV=5に統合
状態異常耐性LV=5(New)

●特技
火)《ファイアーバレット》(炎の弾)
  《ファイアーキャノン》(炎の砲弾)
  《ファイアーストーム》(炎の竜巻)
水)《アイスランス》(氷の槍)
風)《ウインドカッター》(風の刃)
土)《ストーンウォール》(石の壁)

光)《ライト》(光の玉)
  《エクストラヒーリング》(状態異常回復・精神異常回復・全身治癒)
  《ポイズンヒール》(解毒) ⇒《エクストラヒーリング》に統合
闇)《アシッドレイン》(毒の雨)

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》
《解析》

ステータスを詳しく見ると、レベル間での戦闘の質により、上昇するステータスに差がある事に気付く。
レベル4~6になるまで、剣技・槍技を主体とした戦闘をしたからか、筋力、丈夫さ、持久力の上昇率が高い。

しかし…
「ん~…あれれ…?何かがおかしい気がする…」
ここに来てレニータは良く考えてみた。

「家のメイドたちでもレベル20くらいはあったわよね…」
「私は賢者になった今でも、まだレベル6…家のメイドたちって、どんだけ強いわけ?」

「あれ?でも私…レベル50以上の魔物をガンガン倒しているけど…?」
「あああ~もう訳が分からない…」

「ま、いっか」
レニータのお気楽モードが発動した。
しかし、これが後になって大問題になるのであった。

【4話に続く】⇦ココをクリック

 

★冤罪で殺されたら異世界に飛ばされました!★(2話)

知らぬ間に≪アークメイジ≫の≪称号≫を得たレニータ…
どうやら、3属性以上の魔法が使え、その全てがレベル3を超えるとなれるらしい。

それだけ、複数の属性持ちは珍しいのだ。
全属性持ちであるレニータ…それが神の領域である事を知らなかった。
また、≪称号≫は自覚(ステータスを見て確認)しないと、意味が無い事をレニータは知らない。

次に向かうは、いよいよダンジョン…
と言いたいところだが、近くにダンジョンはない。

しかもダンジョンに入るには、一定の条件がある。
王国近衛兵団員であり、国からの勅命を受けたもの、もしくは冒険者ギルドで許可が下りた者」である

「うーん…困ったなあ~」
「王国近衛兵団に入隊出来るのは、17歳以上で學校を卒業後、実力を認められた者だけだし…」
冒険者ギルドに登録出来るのは、洗礼を受け、ステータスが現れて2年後の14歳からだし…」
「現状でダンジョンに入るのって無理ゲーじゃない…」

困り果てたレニータは、とにかく何か良い方法はないものかと、家にある本を読み漁った。
そして、1冊の本に巡り合う…
いにしえの賢者の伝説である。

その本によると、この近くには祠(ほこら)があり、数千年前に現れたという、大賢者が祀(まつ)られている。
大賢者は、いくつものダンジョンを攻略し、時の英雄であった。
とにかく強力すぎる力ゆえ、国同士は制裁を恐れ、争いのない平和な日々が続いたとか。

「何かいい情報があるかも知れない…」
「一度行って見るか…」
レニータは夜中にこっそり家を抜け出し、祠に向かって行った。

石畳の道に沿って、石塔の上に魔力炎が灯されている。
青白く光る炎は山の麓まで続き、先には岩肌に巨大な扉が見える。

「大きな扉ねえ…どうやって開けるのかしら…」
その巨大な扉は、押せど引けどビクともしない。

「ハアハア…」
力、体力のないレニータには、この重い扉を動かすなんて到底無理な話だった。

四苦八苦する事、1時間…
「もう頭にきた…」
「こうなったら、破壊してやる!」

「見てなさいよ~この私の力を!」
「《ファイアーバレット》!」
あの、大岩を吹き飛ばすほどの魔法攻撃力と魔法量。
レニータは自分の力を信じて疑わなかったが…

「ドーーーン!」
派手な轟音と共に吹き上がる炎…
しかし…扉は傷一つ付かなかった。、

「そんなあ…ビクともしないなんて…」
「他の人のステータスなんて見た事無いし、そっか…やっぱ私って大した事ないんだ…」

「あ~あ…」
レニータは俯いて手をつくと、肩を落とし、落胆した。

「それにしても…なにか忘れてるような…」
「あっ!!」
「そう言えば私…《鑑定》ってスキル、一度も使った事無かった!」

「試しに…扉を《鑑定》!」

●名称 [大賢者の祠]の入口
【破壊不能
【解除=認められし者】

「何これ、破壊不能って…」
「けど、解除に認められし者って事は、やはり中に入る方法があるのね…」
「どうやったら入れるんだろ…」

「仕方ない…1度戻るか…」
時間の問題もあり、レニータは諦めて家に戻って行った。

家に帰り着いたレニータは良い方法はないかと模索していた。
「何か良い方法はないかしら…ステータスオープン!」
レニータはステータスウィンドウを良く確認して見た。

★☆ メインステータス ☆★ [※()内は前回からの増量値]
≪アークメイジ≫
【レニータ・クラーク】(10歳)[職業=なし]
LV=1
EXP=0
HP=26 (+6)
MP=347
SP=381

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =12 (+2)
丈夫さ(物理防御力) =12 (+2)

知力(魔法攻撃力)  =237
精神力(魔法防御力) =192

持久力(HPに影響) =11 (+1)
魔力(MPに影響)  =267

素早さ(速さ回避力) =10
器用さ(クリティカル)=180
集中力(スキルに影響)=297
運(ステータス上昇率)=321(+1)

●所持スキル
火属性魔法LV=3
水属性魔法LV=3
風属性魔法LV=3
土属性魔法LV=3

光属性魔法LV=3
闇属性魔法LV=3

鑑定LV=1
精神異常耐性LV=5
毒耐性LV=1

●特技
火)ファイアーバレット《炎の弾》
水)アイスランス《氷の槍》
風)ウインドカッター《風の刃》
土)ストーンウォール《石の壁》

光)マインドヒーリング《精神異常回復》
  ハイヒーリング《ハイクラス治癒》
  ポイズンヒール《解毒》
闇)アシッドレイン《毒の雨》

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》

「あれ?私の≪称号≫…いつの間にか≪アークメイジ≫になってだったんだ」
「これって凄いのかな?」

レニータが一人で呟いていると…
「あなたは≪アークメイジ≫であると自覚しました」
「それにより、あなたのステータスの≪称号≫は、他人にも≪アークメイジ≫と認識されます」
「またステータスに、≪称号≫による補正がかかります」

★☆ メインステータス ☆★ [※()内は前回からの増量値]
≪アークメイジ≫
【レニータ・クラーク】(10歳)[職業=なし]
LV=1
EXP=0
HP=62 (+36)
MP=390(+43)
SP=403(+22)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =22 (+10)
丈夫さ(物理防御力) =22 (+10)

知力(魔法攻撃力)  =267(+30)
精神力(魔法防御力) =222(+30)

持久力(HPに影響) =41 (+20)
魔力(MPに影響)  =297(+30)

素早さ(速さ回避力) =20 (+10)
器用さ(クリティカル)=200(+20)
集中力(スキルに影響)=327(+30)
運(ステータス上昇率)=351(+30)

●所持スキル
火属性魔法LV=4(+1)
水属性魔法LV=4(+1)
風属性魔法LV=4(+1)
土属性魔法LV=4(+1)

光属性魔法LV=4(+1)
闇属性魔法LV=4(+1)

鑑定LV=1
精神異常耐性LV=5
毒耐性LV=1

●特技
火)《ファイアーバレット》(炎の玉)
水)《アイスランス》(氷の槍)
風)《ウインドカッター》(風の刃)
土)《ストーンウォール》(石の壁)

光)《マインドヒーリング》(精神異常回復)
  《ハイヒーリング》(ハイクラス治癒)
  《ポイズンヒール》(解毒)
闇)《アシッドレイン》(毒の雨)

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》

「≪称号≫って、自分でそう思わないと意味がないんだ…」
「それに扉と格闘したせいか、力とかも微妙に増えてるわね」
レニータはステータスを詳しく確認していたが、かなり疲れていたせいか、そのまま眠ってしまった。

次の日、寝ぼけまなこで起きて来た大広間には家族が待っているはずもなく…
一人寂しく食事を取っていたが、レニータはある事に気付いた。

「そう言えば、《鑑定》スキルにもLVがあったわよね」
「って事は、LVを上げれば封印の解除方法が分かるかも知れない」

「他の人の強さも知りたいし、とりあえず《鑑定》しまくって見るか!」
レニータは手当たり次第に《鑑定》しまくった。

★☆ メインステータス ☆★
【グレース・ナーセリー】(38歳)
LV=27

「え?レベル27…てっきり5とか、高くても10程度かと思ったのに…思ったより高いのね」

レニータは、20歳になるまでは必ず、年相応のレベルまで上がる事を知らなかった。
つまり20歳になれば、誰でも必ずレベル20以上になるのである。

そしていつもの声が聞こえる…
「所持スキル=《鑑定》がレベル2になりました」
そうすると【グレース・ナーセリー】のステータスに、[職業]が追加された

★☆ メインステータス ☆★
【グレース・ナーセリー】(38歳)[職業=メイド長]
LV=27

よし、次…

★☆ メインステータス ☆★
【カミラ・エルナンド】(19歳)[職業=メイド]
LV=20

よし、次…

★☆ メインステータス ☆★
【ステラ・ガルシア】(22歳)[職業=メイド]
LV=23

よし、次…

★☆ メインステータス ☆★
【ルーシー・ローゼス】(16歳)[職業=メイド見習い]
LV=16

そしていつもの声が聞こえる
「所持スキル=《鑑定》がレベル3になりました」

「次は何が見れるようになったかな~?」
「て…えええーーーーー!!」

★☆ メインステータス ☆★
【オースティン・キャンベル】(67歳)[職業=クラーク家執事]
LV=55
HP=438

「………」
「ガーーーン、やっぱり私って相当弱かったのね…」

レニータは知らなかった。
【オースティン】が、〔ゼニウス王国〕の東の要である[クラーク家]を守るため…
威信をかけて雇った、武術系の上級冒険者である事を…


「このままじゃ、また…」
レニータは不安で仕方なかった。
前世では些細な事から起こった出来事で、恨みを買い殺されてしまった。

こっちの世界ではこの黒い髪にまして…曇った眼つきに、敵意を秘めたような面立ち…
しかも家族はもちろん、[クラーク家]に仕える者にも毛嫌いされ、悪意すら感じる。

「とにかく、殺されない位には強くならないと…」
「やっぱり、魔法だけじゃ魔力が尽きた時に戦えない」

「なにか武器を扱えるようになった方がいいわね」
「何が良いかしら…」
レニータは物置に、古ぼけた槍のようなものがあったのを思い出した!

一見、先の方が円を描いており、杖のようにも見えるが、その円の中心から刃が3本付いている。
丸い時計から、針が飛び出たような形状である。
12時方向、つまり中央の刃が長いので、槍のようにも見える。

「ま、とりあえずこれで我慢するか…」
レニータは杖を手に取ると、刃の部分に布を巻き、もう一度[大賢者の祠]に行ってみた。

「見てなさいよ… ≪アークメイジ≫の≪称号≫で得た力を…」
前回、一時間以上かけても、全くビクともしなかった扉…
しかしレニータは、≪称号≫で得たステータス補正で、破壊出来るようになっていると信じて疑わなかった。

扉の前に着いたレニータ…
「私の持てる最大の魔法で、1発で壊してやる」
とは言ったが…全ての魔法レベルは3で、最低限の魔法しか知らなかった。

レニータは杖を握りしめ、杖をかざして魔力を集中し始めた。
その時、いつもの声が聞こえた…

「レニータは〘時の杖〙を装備しました」
その瞬間!!
フッと…辺りが一瞬暗くなって、急に時間が止まった感じがした。

「パキーーーン!!」
鏡が割れたような音が響き渡ると、杖から発した光が扉に映し出された。

「え…?何が起こっているの…」
レニータは驚いて、言葉を詰まらせる。

そして…
「ゴゴゴゴゴ…」
低い地響きと共に、あの大きな扉が開いていった。

すると、いつもの声が続いた。
〘時の杖〙を装備した事により、新しくスキルを覚えました」

杖術LV=1、剣術LV=1、槍術LV=1
「装備して闘うほど、術レベルが上がり、強力なスキルを覚える事が可能になります」

「また、〘時の杖〙を装備した事により、ステータスに補正がかかります」
魔法攻撃力+5、杖術・剣術・槍術の熟練度UP速度増加

「うっわ、攻撃力低っく~…だから物置に入れられていたのね」
「それに…なるほど…」

「武器って装備するだけで、その武器の熟練度を術スキルとして覚えるんだ」
「ま、ゴミだけど、杖とか槍とかが一緒に覚えられるなんて、なんかお得な気分だし…いっか」

レニータは知らなかった。
一度に2つ以上の武器術(熟練度)が上がるような武器は、伝説でしかないと言う事を…
もし杖に人としての意思があったなら、思いっきり文句を言われていた事だろう。

「まあ、どうにかなるでしょ…」
お気楽なレニータは、ズンズンと祠(ほこら)の中に進んで行った。

中は意外と広く、幅が30m程ある。
更に100mほど先に進むと、ドームのように開けた場所に出た。
闘技場のようにも見えなくもない…それにかなり広い。

「ま、見えないって程じゃないけど…」
所々に魔法灯が設置され、付近をぼんやりと照らしているが、かなり薄暗かった。

「一応、照らしておくか…ここは得意の光魔術で…」
「太陽の光と成分をイメージして、《ライト》!」

「《ライト》を覚えました」
いつもの声がして薄暗い洞窟内を、光の玉が遠くまで明るく照らしたその時…

「キラッ!」
星の瞬きのように、沢山の光が輝いたと思ったら、それと同時に、大量の矢が飛んできた!

「《ストーンウォール》!」
間一髪だった。
大量の矢は土の分厚い壁に阻まれ弾かれたが、それと同時に今度は、沢山の魔物が剣で襲い掛かって来た。

土の壁は耐えられず崩れ落ちる…
その間から、剣先が色んな角度から振り下ろされる。

「あっ…」
間隙を縫ってかすめていく、太刀筋がレニータの右肩から、バッサリと斜めに降り抜かれる。

致命傷だった。
普通の者ならば…

「肩から肺、胃、腸…その全ての構造をイメージ…《ハイヒーリング》!」
飛ばされ、倒れ込むと同時に魔法が発動。
どうにか傷を塞ぐことが出来たレニータ。

「危なかった…少しでも遅れていたら致命傷だった…」
「いや、万一《ライト》を使わなかったら、間違いなく死んでいた」

レニータは自分のレベルを遥かに超えた危ない場所に来てしまったのかも…
と、少し後悔し始めていた。
「《鑑定》!」

★☆ メインステータス ☆★
【ハイスケルトン・ナイト】
LV=32
HP=235

★☆ メインステータス ☆★
【ハイスケルトン・メイジ】
LV=29
HP=180

★☆ メインステータス ☆★
【ハイスケルトン・アーチャー】
LV=31
HP=205

レベル30前後の魔物がゴロゴロいる。
更に、奥にとんでもないのがいた。

★☆ メインステータス ☆★
【スケルトン・ジェネラル】
LV=63
HP=920

立派な片手剣に盾…
腹部が開いた甲冑からは、巨大な魔法石が不気味なオーラを発して光っている。

「え?… いくらなんでもアレはヤバい…」
今までに体験した事がない、凄まじい威圧感…
レニータは初めて恐怖で、背筋が凍っていくのを覚えた。

「とにかく数を減らさなきゃ…」
「剣と魔法にだけでもヤバイのに、弓までいたら、まず捌けない」
「後に距離をとって、弓から…」

「《ストーンウォール》!」
レニータは飛び交う矢と、魔法弾を土の壁で交わしながら後方に大きく飛び…
大砲をイメージして炎の弾を放った。

「《ファイアーキャノン》!」
集中に多少時間はかかるし弾速は遅いが、固まっている敵には範囲攻撃として有効である。

「ドーーーン…」
轟音と共に、後方にいた数十体の【ハイスケルトン・アーチャー】を焼き払った。

「レニータのレベルが上がり…」
お馴染みの声が聞こえて来た瞬間!

「剣技、《朧月影(おぼろつきかげ)》」
爆発に紛れて、フッと一瞬で間合いを詰めた【スケルトン・ジェネラル】
太刀筋すら朧気に霞む剣を振り下ろす。

「え?…こんなの見えるわけ…」
気配を察し、とっさに避けようとしたレニータだったが…
片腕が宙に舞った瞬間、腹部から大量の血が噴き出した。

口からも大量の血が流れ出る。
「い…痛い…焼けるように痛い」

レニータは斬られる前にレベルが上がってなかったら、《朧月影》をまともに食らっていたであろう。
紙一重の所で命を繋いでいた。

腹部の臓器の構造をイメージ…《ハイヒーリング》
瀕死ながらも、どうにか腹部の傷を塞いだレニータ。

とっさに体制を整えて、急いで斬られた腕を拾った。
骨格、筋肉、筋…腕の構造をイメージ…

「お願い間に合って…《ハイヒーリング》」
イメージした構造に合わせて、組織が再構成されていく…
寸での所で腕を繋ぎ合わせ、HPも半分以上を回復する事が出来た。

しかしレニータは、まともな判断が出来ない状況に追い込まれている。
目には一寸の余裕も無く、ただただ本能のままに行動している。

「これ以上長引かせると、必ずMPが足りなくなる」
死に直面した本能がそう伝えてくる。
レニータは間髪入れずに、魔法を唱えた。

「もう一発…《ファイアーキャノン》」
「ヒュン、ドーーーーン…」

「え?」
放ったレニータが驚くほど、先程とは比べ物にならない凄まじい威力!
一発の魔法で、半数以上の魔物が吹き飛んだ。

それもそのはず、《ハイヒーリング》や《ファイアーキャノン》を何度も使えるのは…
上級冒険者の中でも、一握りの魔法使いだけなのである。

魔法の使用で杖術レベルが3に…また魔物討伐でレベルが上がったのもあるが…
元々レニータは、知力(魔法攻撃力)などの、魔法系のステータスが平均より高く、上昇しやすいのであった。

「レニータのレベルが上がりました」
ここに来て、更にレベルが上がった。
祠に入る前に比べると、大幅にステータスが上昇している。

★☆ メインステータス ☆★ [※()内は前回からの増量値]
≪アークメイジ≫
【レニータ・クラーク】(10歳)[職業=なし]
LV=3(+2)
EXP=28780
HP=165(+103)
MP=535(+145)
SP=433(+30)

●サブステータス
筋力(物理攻撃力)  =52 (+30)
丈夫さ(物理防御力) =62 (+40)

知力(魔法攻撃力)  =370(+103)
精神力(魔法防御力) =342(+120)

持久力(HPに影響) =100(+59)
魔力(MPに影響)  =417(+120)

素早さ(速さ回避力) =65 (+45)
器用さ(クリティカル)=220(+20)
集中力(スキルに影響)=365(+38)
運(ステータス上昇率)=380(+29)

●所持スキル
火属性魔法LV=6(+2)
水属性魔法LV=4
風属性魔法LV=4
土属性魔法LV=5(+1)

光属性魔法LV=7(+3)
闇属性魔法LV=4

杖術LV=3(New)
剣術LV=3(New)
槍術LV=3(New)

鑑定LV=3(+2)
精神異常耐性LV=6(+1)
毒耐性LV=3(+2)

●特技
火)《ファイアーバレット》(炎の弾)
  《ファイアーキャノン》(炎の砲弾)(New)
水)《アイスランス》(氷の槍)
風)《ウインドカッター》(風の刃)
土)《ストーンウォール》(石の壁)

光)《ライト》(光の玉)(New)
  《マインドヒーリング》(精神異常回復)
  《ハイヒーリング》(ハイクラス治癒)
  《ポイズンヒール》(解毒)
闇)《アシッドレイン》(毒の雨)

●特殊固有スキル
《無詠唱魔法》
《詠唱省略》
《解析》(New)

「これなら…」
素早さが上がったレニータは、ギリギリながら敵の攻撃を交わせるようになっていた。
剣術・槍術で斬り倒しながら、足りない所を魔法で補っていく。

「レニータのレベルが上がりました」
殆どの敵を片付け終わる頃、更にレベルが上がった。

「!!」
「来る!!」

華麗に舞いながら魔物を倒すレニータの着地の瞬間…
【スケルトン・ジェネラル】が突進してくる。
「剣技、《朧月影》」

「太刀筋が歪むほどの高速剣」
「怖いのはどうにか残像が見える振り下ろしじゃない…」

「この影…殆ど見えない神速の横払い…」
一度剣技を見た事により覚えた、新しい特殊固有スキル、《解析》が技を見切った。

「キーーーン!!」
レニータは辛うじて杖で、神速の横払いを止めた…
が、体が耐えられなかった。

「ミシミシ…」
レニータの体中の骨がきしむ音が聞こえる。

「ほう…私の固有剣技《朧月影》を止める者がおるとは…面白い!」
【スケルトン・ジェネラル】は、杖で止めているレニータの体ごと、もう片方の腕に装備している盾で弾き飛ばした。

「ぐはっ…」
骨に更に衝撃を受け、口から血を吹きだす!
弾き飛びながら意識が朦朧(もうろう)とするレニータ…

「力が抜けていく…こっちの世界でもまた死ぬ?」
「生きて沢山の人を救って…沢山の笑顔を見たかった…」
「私も笑顔でいたかった…神様のバカ…」
「少しくらい、私にも幸せをくれても良いじゃない…」

前世で起きた不幸が頭を頭をよぎり、走馬灯のように駆け巡った…
「い…嫌よ…」
「まだ終わりたくない…死にたくない…」

生きたいという意志がレニータの気力を奮い立たせる。
そして胸に合わせた手から、金色の神々しい光が優しく体を包んだ。

「《エクストラヒーリング》を覚えました」
あの声が新スキルの取得を報じると共に、弱気な感情を打ち消し、体中の傷を全て癒した。

「私はこんな所で終わらない…やってやる…やってみせる…」
傷を癒したレニータはクルリと反転し、着地すると同時に、魔力を一点に集中し始めた。

レニータは超高熱の燃え盛る竜巻をイメージする!
「食らえー…《ファイアーストーム》」
燃え盛る炎の竜巻が、【スケルトン・ジェネラル】目がけて降り注ぐ。

「ゴオオオオオーー…」
交わす間もなく、竜巻が包むと…

「グアアアアーー…」
【スケルトン・ジェネラル】は絶命するかのような悲鳴を上げた。

【3話に続く】⇦ココをクリック